平安時代の恋の歌に忠臣蔵の辞世の句。歴史に残る様々な歌は、どんな思いで詠まれたのか?【前編】
皆々、息災であるか。前田又左衛門利家である。本年の大河ドラマ『光る君へ』にて、ついに道長様が「望月の歌」をお読みになったわな!『このよをば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば』天皇家の外戚として実権を握り藤原家の最盛期をもたらした道長様が詠んだ「満月に欠けたところがないように天下は余すことなく自分のものになった」という意味の一句として現世には伝わっておる。然りながら、道長様としては「この世」ではなく「この夜」と詠んだつもりで、「この穏やかな夜のような世の中にしていきたい」であったり、字面の通り「満月の良い夜だなぁ」といった意味にも捉えられるで、誠に何を思ってこの句を読まれたのかは道長様のみぞ知ることであろう。ちなみにこの歌が読まれたのは新暦で11月26日のことである。ということで此度の戦国がたりでは歴史に残る様々な歌について取り上げてまいる。儂(わし)らは様々な場面で、様々な歌を詠んだ。どんな思いで歌を詠んだのか、それぞれの歌を追いかけようではないか!遠い時代の話ながら身近にも感じられる恋の歌、政治的な思惑を伝えるための歌、そして武士の覚悟と生き様を示した歌と、異なる魅力を持つ歌を、我が独断で三つほど選んでみた。