2022年10月14日の鉄道開業150年を契機に始動した「鉄道開業150年 交通新聞社 鉄道文芸プロジェクト」 、通称「鉄文(てつぶん)」。 

鉄道×文芸による多彩な企画を展開し、旅や鉄道の新たな魅力を開拓するこのプロジェクトの一環として、鉄道をテーマにした「鉄文」文学賞の作品を募集しています。

この記事では、最終選考委員としてお迎えする3名の小説家の方々のプロフィールや応募者の方へのメッセージを紹介します。

有栖川有栖(ありすがわ ありす)

プロフィール

1959年、大阪市生まれ。1989年『月光ゲーム』でデビュー。2003年『マレー鉄道の謎』で日本推理作家協会賞、2008年『女王国の城』で本格ミステリ大賞、2018年「火村英生」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。『赤い月、廃駅の上に』や『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』等、著書多数 

応募者への方へのメッセージ

じーんと胸にしみたり、ハラハラしたり、ほっとしたり、懐かしかったり、謎めいていたり……鉄道にまつわる色々な物語と出会えるのを楽しみにしています。この期待でいっぱいの気持ちは、まるで旅に出る前のようです。 

温又柔(おん ゆうじゅう)

(撮影=朝岡英輔)
(撮影=朝岡英輔)

プロフィール

1980年、台湾・台北市生まれ。台湾語、中国語、日本語の飛び交う家庭に育つ。2009年「好去好来歌」ですばる文学賞佳作、2016年『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)で日本エッセイスト・クラブ賞、2020年『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』(中央公論新社)で織田作之助賞を受賞。

応募者への方へのメッセージ

電車、プラットーム、駅のベンチや車窓から眺めた風景など……記憶や心の片隅できっと眠っているはずのあなただけのエピソードが、あなた以外の他の誰にも書けない小説となって姿をあらわすのを楽しみに待っています。 

滝口悠生(たきぐち ゆうしょう)

プロフィール

1982年、東京生まれ。2011年、「楽器」で新潮新人賞を受賞しデビュー。2015年『愛と人生』(講談社)で野間文芸新人賞、2016年「死んでいない者」で芥川賞を受賞。著書に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』『茄子の輝き』(新潮社)、『高架線』『長い一日』(講談社)など。 

応募者への方へのメッセージ

線路はどこまでも続いていてすごい。ふらりと電車に乗って思いがけず遠くまで行けたりする。電車は毎日走っていてすごい。窓の外の見なれたはずの風景が特別に見える日がある。小説と鉄道はよく似ていると思います。線路みたいに途切れず続く散文で、特別な景色のなか読み手を遠くへ運ぶような作品を読みたいです。