歩いたコース[御岳山→日の出山→つるつる温泉]
●今回歩いた距離・時間/約8.0km・約2時間25分
●スタート地点(御岳山駅)までのアクセス/JR青梅線御嶽駅からバス10分のケーブル下下車。徒歩5分の滝本駅から御岳山ケーブルカー6分の御岳山駅下車
※所要時間に休憩は含んでいません。
御岳山は中世より大山、榛名山(はるなさん)とともに関東の修験道の中心。しかも、武蔵御嶽神社には日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を導いた白狼伝説が伝わり、ニホンオオカミをかたどった珍しき神札が評判だ。
江戸時代になると、おいぬ講が組織され、社寺詣での折に御師(おし)が案内に立ち「参拝者が泊まる宿坊集落が山上に誕生しました」と、禰宜(ねぎ)の天野宣子さんは話す。
時代の移り変わりで、ほかの山では宿坊が商店に様変わりしたが、御岳山はいまも多くの宿坊が続行。
神に奏上する最高儀礼の太々(だいだい)神楽も社家(しゃけ)31戸が世襲制で伝承していたが、現在は太々神楽保存会が設立されて女性も引き継げるようになり、初夏から秋にかけては夜神楽を無料公開。
「体に覚えさせる練習を兼ねたもの。ときどきつたないところを感じることがあるかもしれませんが、温かい気持ちでご覧いただければ幸いです」と、天野さんは笑う。
なかでも、錦繍の御岳山では「天空もみじまつり2026」を10月24日~11月23日に開催。神楽に加え、オカリナやバイオリンの夕べなども催され、雅な音色が山に響きわたり幽玄だ。
神社は山上に立ち、クマも昆虫も棲み暮らす自然のパワーに満ちている。「山に獣はいるもの。ハイキングするときは、とにかくにぎやかにしゃべって獣に人がいることを知らせてくださいね」と口を添えた。
「武蔵御嶽神社」珍しきおいぬ様を崇める山上のお社
東国鎮護を祈願し、天平8年(736)に僧・行基が金剛蔵王権現像を安置。以来、山岳信仰の聖地に。山中を迷った日本武尊を白狼が導き、大口真神(おおくちまがみ)となって御岳山に留まったことから、厄災避けの守護神・おいぬ様としても崇敬が篤い。
☎0428-78-8500
境内自由(社務所は9:00~17:00)
東京都青梅市御岳山176
御岳山ケーブルカー御岳山駅から徒歩25分
太々神楽の一般公開
武蔵御嶽神社の神楽は、祭祀や祈祷を行う社家が受け継いできたもの。素面神楽は演目の12座のうち3座が、面神楽は13座が伝承され、東京都指定の無形民俗文化財。6~11月に夜神楽などで無料公開している。
●夜神楽(神楽殿)は6~11月の第4日曜の20:00~、薪神楽(鳥居前広場)は2026年10月24日の20:00~
山上の楽しみはほかにも。週末限定スポットも見逃すな
山上では、枝葉の下に立つ『長尾茶屋』にも立ち寄りたい。店主のJOJOさんは「秋の紅葉はすっごくきれいです」と絶賛。アテ持参で紅葉狩りする強者も少なくない。
また、保護猫たちが代わる代わる門前で寝転ぶ宿坊『南山荘』では、若女将の片柳麻衣さんが「蛇口を捻ると出るのが綾広の滝の源流水。山上集落36軒だけの特権です」とにっこり。まろやかな山の水で割るジュースを飲めば、心もシャキッとリフレッシュ。
『長尾茶屋』木立の中で味わう至福の一杯
長尾平に立つ茶屋はワインが名物。先代のソムリエから引き継いだ2代目のJOJOさんは、ドイツのマリエンゴールドグリューワインをホットで供し、シナモンやオレンジが重層的だ。弾き語りLIVEなど、イベントも時おり開催。
Instagram:@jojo20251206nagao
土・日の11:00~18:00(日曜朝のSUNRISE CAFEは日の出前後に開店)
東京都青梅市御岳山長尾平
御岳山駅から徒歩20分
『南山荘 天空のジュース屋さん』広がる景色と果実の香りを満喫
宿坊の若女将・片柳麻衣さんがコロナ禍を経て開始。地元産の青梅、赤しそ、ゆずをはじめ、季節の多彩な果実を氷砂糖とお酢だけで漬けたシロップが約10種。テラスは絶景スポットで青梅線の往来、日光連山、木更津も見晴らせる。
☎0428-78-8449
晴れた土・日の9:00~16:00(変更の場合あり)
東京都青梅市御岳山111
御岳山駅から徒歩15分
日の出山に向かえば、途中に日本武尊が関東を見渡したと伝わる顎掛岩が。試しに顎をかけても景色は樹木の陰。代わりに標高902mの山頂に立てば、足元に関東平野がどこまでも広がっていた。
締めの『つるつる温泉』では、とろとろの湯に肌が喜び、ビールに喉が鳴る。
さらに、赤いうどんは特産のトマトがやさしく胃の腑(ふ)を温め、町内の「福嶋牧場」の牛乳を使った瓶プリンがなめらか&濃厚でうっとり。もうしばし、極楽時間に浸っていたい。
『生涯青春の湯 つるつる温泉』とろとろの湯で肌がつるっつる!
地下1500mから汲み上げる温泉は㏗10超えで、美人の湯の誉高し。2種の風呂は偶数日と奇数日で男女入れ替え制。木々に包まれた岩風呂の露天風呂が人気の和風「美人の湯」と、山を望む洋風「生涯青春の湯」があり、風情の違いも楽しみ。
☎042-597-1126
10:00~20:00(パノラマ食堂は11:00~16:00〈大広間は~19:00LO〉)
第3火と年2回の設備点検時休
平日3時間以内1050円(土・日・祝と繁忙特定日は1150円)
泉質/アルカリ性単純温泉
東京都日の出町大久野4718
JR五日市線武蔵五日市駅からバス19分のつるつる温泉下車すぐ
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡
『旅の手帖』2026年10月号より







