桜田ひより

さくらだ ひより/2002年、千葉県出身。幼少期に芸能活動をスタート。2014年にドラマ『明日、ママがいない』に出演し注目を集める。以降、ドラマ『silent』『ESCAPE それは誘拐のはずだった』、映画『バジーノイズ』『モブ子の恋』など、多くの話題作に出演。2026年12月には『人生を変えたコント』も公開を控える。

Instagram:@hiyori_sakurada_official

桜田さんが主演を務めるのは、大阪の“夜間中学”が舞台の映画『星の教室』。主人公の潤間(うるま)さやかは中学時代にいじめが原因で不登校になり、卒業を拒否して中退していた。

レンタルビデオ店でアルバイトをしていた二十歳のさやかは常連客が借りた映画『学校』がきっかけで、近くの夜間中学へ。料理人を目指す松峰健児(小林虎之介)や中国残留孤児の山西蕗子(ふきこ/浅野温子)、交通整理員の遠見巌(いわお/山本學)、ベトナムから来たスアン(ナターシャ)ら年齢も国籍も違う仲間と学ぶことに—— 。

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人のぬくもりにあふれた作品

——作品の印象は?

桜田 人のぬくもりが伝わってくる作品だなと思いました。さやかについては感受性が豊かで、人一倍感情に敏感だからこそ人に寄り添える。そこにはいい面もありますが、大変な面もあって。周囲の空気にのみ込まれたり、自分のマイナスな感情に支配されたり。

でも、国籍も年齢も違う人たちと過ごすからこそ、それぞれのいいところをどんどん吸収して前向きになれるのかなと思いました。

——自主中退を選んださやかに、芯の強さを感じました。

桜田 さやかが、そのときの思いを真木よう子さん演じる夜間中学の江口先生に打ち明ける場面がとても心に残っています。親にも言えなかったつらい思いを吐き出せたのは、真木さんがまとう空気感だからこそ。

机を挟んで向かい合う先生に思いを伝え、涙が止まらなくなるさやかの隣に先生が寄り添ってくれるのですが、あれはアドリブなんです。真木さんが「隣にいてあげたくなった」と言ってくださって。その場で生まれた空気も感じていただけたら、うれしいです。

年上の方の話を聞くのが小さい頃から楽しかった

——桜田さん自身、さやかに似ているところはありますか?

桜田 小さい頃から大人の方たちに囲まれてお仕事をしていたので、年上の方と交流するという点では、さやかと似ているなと思います。

学校はもちろん楽しかったですが、お芝居をとおして年上の方や、自分の知らない世界を知っている方の話を聞く時間がとにかく楽しく、おもしろかったです。

——大阪が舞台ということで、セリフは関西弁。私、関西出身なのですが、お上手だなと。

桜田 ほんとですか? わぁ~よかったです! そう言っていただけるのが一番うれしいです。

関西の方が聞いても違和感のないものを……と思って方言データを聞き、自分なりに噛み砕きながらイントネーションを勉強しましたが、関東で生まれ育ったので、どれが正解かわからないところもありました。合っているか不安だったので、ほっとしました!

——“夜間中学”についてはご存じでしたか?

桜田 存在は知っていましたが、具体的なことは正直、知らないことだらけでした。

クランクインの前に、通われていた方の卒業文集やインタビュー記事を読んだり、関係する映像や資料を見たりして、学ばせていただきました。

それで感じたことが、夜間中学は人のぬくもりに満ちた場所だということ。年齢も国籍もバラバラだけど、同じ空間で同じところを見て学ぶ。誰も置いていかないという温かい雰囲気があるんです。

先生も含めて、みんな仲間という空気が魅力的だなと思いました。

——パンと牛乳などが出る補食の時間も、仲間感がありましたね。

桜田 机をくっつけてみんなで一緒に食べたりして、なんだか懐かしかったです。それだけで心の距離も縮まりますよね。改めて一緒にご飯を食べるというのは、素敵なことだなと感じました。

実際にとてもおいしかったという補食のシーン。中尾ミエさん(左)と浅野温子さん(右)も楽しそう! (C)2026映画「星の教室」製作委員会
実際にとてもおいしかったという補食のシーン。中尾ミエさん(左)と浅野温子さん(右)も楽しそう! (C)2026映画「星の教室」製作委員会

さやかが背中を押された大先輩の熱演

——浅野温子さん、山本學さんら、ベテランの方々との共演はいかがでした?

桜田 みなさんの力強いエネルギーに圧倒されつつも、さやかとして背中を押されたり、自分の心が動いたりする感覚がありました。

浅野さん演じる蕗子さんが、悲しい過去を告白する場面では感極まって、終わったあとにみんなでハグし合いましたし、家族との関係に悩むさやかが、山本さん演じる遠見さんとベンチで話す場面も心を動かされました。靴ひもがほどけたら結び直せばいいという表現で、家族関係だってやり直せるとアドバイスをくれるんです。その言葉がぐっと響いて……。

そんなみなさんのおかげで、さやかの背中がどんどん押されて一歩踏み出す勇気をもてる、そう実感しながら演じていました。現場もわきあいあいとして、本当の教室みたいでした。

——「生きることは学ぶこと」が、作品の大きなテーマでしたね。

桜田 作品をとおして改めて感じたことは、どんな状況でも、どんな年齢でも学べるということ。遅いことも早いこともない。いくつになっても自分が勇気をもって一歩踏み出せば、今の時代、誰でも学べる環境があります。

映画の中で「学びは消えない」というセリフがありますが、学びは自分の経験となって将来に役立ったり、過去に向き合ったときにちょっと心を軽くしてくれたり。自分自身を救ってあげられる材料としても、とても大切なものなんだなと感じました。

両親との関係に悩むさやかを人生の先輩・遠見がやさしく励ます、心温まる場面。 (C)2026映画「星の教室」製作委員会
両親との関係に悩むさやかを人生の先輩・遠見がやさしく励ます、心温まる場面。 (C)2026映画「星の教室」製作委員会

——子どもの頃からお仕事をされてきて、学びの機会も多かったでしょうね。

桜田 そうですね、絶えず学びがありました。役によっても変わりますし、いろいろなことを知ることができるのも楽しいです。

例えば、きれいな景色を見て心が動かされたというような経験も含め、どんなことも学びになる職業なので、日々自分が感じたプラスなこともマイナスなことも、大事に過ごそうと思っています。

——最後に読者にメッセージを。

桜田 旅にもいえることだと思いますが、一歩踏み出すことで、思いがけない出会いがあったり自分の考えが変わったりして世界が変わる、そんなことをこの作品から感じていただけたらうれしいです。

この続きはぜひ本誌で
インタビューの続きは『旅の手帖』2026年12月号に掲載されています。ぜひ雑誌を手に取ってみてください。
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2026年11月6日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 『星の教室』

(C)2026映画「星の教室」製作委員会
(C)2026映画「星の教室」製作委員会

2001年、大阪のレンタルビデオ店でアルバイトをする二十歳の潤間さやか。中学生の時、いじめが原因で不登校になった過去があったが、ある日、夜間中学の存在を知って通い始める。年齢も国籍も異なる人たちと学ぶなかで、さやかが見つけた自分らしい生き方とは?

原作:髙田 郁「星の教室」(角川春樹事務所刊)
総監督:角川春樹 監督:中川龍太郎 脚本:松井香奈 角川春樹
出演:桜田ひより / 仙道敦子 萩原聖人 / 中尾ミエ 浅野温子 / 山本 學 ほか
配給:NAKACHIKA PICTURES/フライフリーエンターテイメント

聞き手=岡崎彩子 撮影=千倉志野
ヘアメイク=徳永 舞(BEAUTRIUM) スタイリスト=前田涼子
衣装協力:ニット¥24,200、ワンピース¥26,400/DEICY そのほかスタイリスト私物

『旅の手帖』2026年12月号より一部抜粋して再構成