上毛(じょうもう)の街に、山に、文化薫る新風が吹く
街なかのさらに真ん中。馬場川通り沿いの老舗宿『白井屋』が生まれ変わったのは、2020年末のこと。「地域再生・創生のために、『白井屋ホテル』は再スタートを切りました」とフロントマネージャーの萩原沙希さん。
建築家・藤本壮介が設計を手がけたホテルは、4階まで続く吹き抜け空間が美しい。1階のザ・ラウンジは、カフェラウンジとして昼間は誰でも利用可能(予約推奨)。地域の憩いの場としても愛されている。
ホテル再生と時をほぼ同じくして、中央通りや弁天通り界隈も活気が戻ってきた。前橋市産業経済部の田中隆太さんは、店の所有者と街なかで商売をやりたい人をつなぐ“マチスタント”として活動。
「何か始めたいと相談のあった方には、一緒に街なかを2時間ほど歩いて雰囲気やむかしから商いしている方々を知ってもらうんです」
牛歩のように丁寧に夢を応援する姿勢で、マッチングした店舗は計60軒。その店主の声は──。
「ファンが支えているような個人店が集まり、その魅力の掛け算で街に活気が生まれています」(『LAUGH COFFEE(ラフ コーヒー)』の神戸篤樹さん)
「自分が高校生のときはシャッター街でしたけど、田中さんと歩いたら瀟洒(しょうしゃ)なカフェや若い店主が増えていてびっくり。こういう場所なら書店を開業したいと思いました」(本屋 『水紋(すいもん)』の小澤亮太さん)
市民の視点から街なかを元気にしたいと始まった店が、『あんこもん』。代表の本橋豊さんは、地域活性の旗印に“あんこ”を選んだ。
「あんこがテーマなら、街づくりへのハードルも低くなるかなと。全12回のワークショップには5~81歳が参加し、お店で出すレシピをみんなで決めました」
郊外や赤城山周辺にも強烈な磁場を放つスポットが。2023年に誕生の『道の駅 まえばし赤城』は、まえばしバナナをはじめ、地産食材の直売所、焼きまんじゅうなどのグルメに赤城山のペンキ絵の温浴施設と、前橋の魅力が百花繚乱!
赤城山の鳥居峠では、前橋出身の糸井重里さん主宰の「ほぼ日」が営む、『ほぼの駅 AKAGI』がオープン。店長の三ツ井朋大さんいわく「赤城山には新キャンプ場ができ、ビジターセンターも生まれ変わります。季節で変わる眺望を楽しんで、ひと息つきに『ほぼの駅』にも遊びに来てほしいです」。
「普段は入れない! 赤城白樺牧場 秘密の絶景ツアー」
『ほぼの駅 AKAGI』大自然への出発駅にも待合室にも
元ケーブルカーの駅舎が、「遊べるライブカメラ」など情報発信基地に生まれ変わった。赤城山麓産の豚を使うあかぎのうま豚汁 塩むすびセット1430円などの食事提供に加え、駅名入りのオリジナル商品も注目!
☎027-287-8444
10:00~16:00(ランチは11:30~14:00)、不定休
群馬県前橋市富士見町赤城山鳥居峠
JR両毛線前橋駅からバス1時間4分の覚満淵入口(直通バスは土・日・祝のみ)下車、徒歩6分
『Bentena SHOP』マチナカのB面を弁天通りから発信
前橋のおもしろい店や遊びを発信できるよう、グッズの販売や各店のショップカードを設置。人が集まりやすいように、と三冷ホッピー500円も提供する。「小さな個人店など前橋のB面の魅力も伝えていけたら」とスタッフの岡田友大(ともひろ)さん。
☎090-3510-6113
17:00~21:00(土・日は15:00~20:00)
月・木休
群馬県前橋市千代田町3-3-24
JR両毛線前橋駅からバス5分の千代田町三丁目下車、徒歩4分
『白井屋ホテル』アートに囲まれて泊まる贅沢
全体設計は「大阪・関西万博」の大屋根リングも監修・設計した藤本壮介。藤本やジャスパー・モリソンなど4人のクリエイターが手がけたスペシャルルームのほか、吹き抜け空間の『Lighting Pipes(ライティング パイプ)』、フロントの杉本博司『海景』シリーズなど各所にアートが!
☎ 027-231-4618
素泊まり1万8272円~
28室
群馬県前橋市本町2-2-15
JR両毛線前橋駅から徒歩15分
『LAUGH COFFEE(ラフ コーヒー)』中央通りにスペシャリティの若葉萌ゆ
光差し込むガラス張りの空間は、カウンターで立って飲む人もいたり、イスでくつろぐ人もいたり。オリジナルブレンドと、スペシャリティコーヒーのシングルオリジン2~3種があり、ビターから浅煎りまで味わいは幅広い。
☎ 090-9006-4456
10:00~18:00
月休(祝の場合は営業)
群馬県前橋市千代田町2-10-1
JR両毛線前橋駅から徒歩19分
『パーラーレストラン モモヤ』世代を超えて愛されるワンパク洋食
70年前に初代がラーメンやかつ丼を出す食堂を開業し、2代目から洋食も提供。パティシエの3代目夫妻が作るケーキも人気に。デミグラスソースからドレッシングまで手作りという味に惹かれ、4世代にわたって通う常連も!
☎027-231-5017
10:00~18:30LO
水と第3水の翌日休
群馬県前橋市千代田町2-12-2
JR両毛線前橋駅からバス3分の本町下車、徒歩2分
『あんこもん』愛さえあればあんこは自由だ
あんこ好きの市民が集い、レシピを考案。カルダモンやゆず、山椒などの個性派おはぎやエクレあん、あんトッツォ500円など、自由な発想のスイーツであんこの魅力を引き出す。暑い季節は、のむあんこICE500円(上写真の奥)が最高!
☎027-212-7090
11:00~17:30(売り切れ次第終了)
月・火休
群馬県前橋市千代田町3-4-7
JR両毛線前橋駅からバス5分の千代田町三丁目下車、徒歩3分
取材・文・撮影=鈴木健太
『旅の手帖』2026年6月号より






