ベストシーズンは?
春(3~6月)と秋(9~11月)がおすすめ。夏(7・8月)は日照時間が長い利点はあるが、気温が高く熱中症や脱水症などの心配もあるので避けたほうがいい。冬(12~2月)は日照時間が短く寒さ対策も必要だが、夏よりは歩きやすい。
必携の持ち物は?
帽子、水筒、タオルは必携。コース上に飲食店が少ない場合は、臨時休業などに備えて軽食(おにぎり、パン)や甘味があるとよい。天候に応じて、折りたたみ傘や日焼け止めを。
あると便利!
突然の雷雨で雨宿りできない場合も、45Lのゴミ袋があれば荷物が守れ、簡易の合羽(かっぱ)にもなる。山道を歩くときは虫除けスプレー、季節によりヤマビル対策の忌避剤などがあると心強い。歩数計(スマホアプリも可)があれば、ゴールしたときの達成感はよりアップ。
どんな服装で?
平地でも予想以上に汗をかくので、ポリエステル製の服がおすすめ。また汗で湿った衣服のまま強風にあたると体が冷えるので、ポケッタブルのウインドブレーカーを入れておこう。小雨程度なら合羽の代用にもなる。
帽子
つばの広いものがいい。キャップの場合は首の後ろ(うなじ)に注意しよう。長時間直射日光を浴びると、日焼けや熱中症のリスクが高まる。
シャツ
汗で濡れても乾燥の早いポリエステル製が○。長袖を着れば、日焼けや虫刺されの予防になる。
パンツ
ストレッチ素材のポリエステル製を。下着も綿は濡れると乾燥しにくいので、ポリエステル製を選ぼう。
靴
トレッキングやウォーキング用で。五本指の靴下を履くと、足マメができにくい。
リュック
荷物の量にもよるが、25~30Lの容量があれば十分。ウエストベルト付きは荷物の重量を肩と腰に分散できるので、肩が痛くなりにくい。水筒などを収める脇ポケットもあるといい。
着替え
ゴール後に温泉施設や銭湯に立ち寄り、汗を流すのも街道歩きの楽しみ! 下着を替えるだけでも、サッパリした気分で帰宅できる。
歩き方のコツ
まずは靴を正しく履くこと。スタート前はもちろん、休憩時や信号待ちの時間などにストレッチ運動をすると、筋肉のこわばりがやわらぎ、疲れが軽減する。必要に応じて、トレッキングポールなども使うといい。
ひもをゆるめてから足を入れ、かかとを地面に叩いて密着させてひもを結ぶ。最後にかかとを上げて足指の付け根が曲がった状態で蝶結びにすると、足の甲とかかとがフィットして歩きやすい。
地図や記録は?
ガイドブックやスマホアプリのほか、多くの各市町村が発行している旧街道の地図やパンフレットが便利。観光案内所などに立ち寄ろう。「YAMAP」や「膝栗毛」などのアプリは歩いた記録を残せるほか、投稿機能を使って交流も楽しめる。
計画や困る前に……が大事
スタートやゴールが路線バスのバス停になる場合は、事前に発車時刻を調べておくこと。バスの本数が極端に少ないこともある。トイレはスタートの駅や昼食時の飲食店などで済ませ、途中はコンビニ、ショッピングセンター、公園などを利用する。“困る前に済ませる”を心がけよう。
知ればもっとわかる 街道用語
五街道[ごかいどう]
江戸幕府が江戸と各地方を結ぶために整備した五つの陸上幹線道で、東海道、中山道、甲州街道、奥州(おうしゅう)街道、日光街道を指す。江戸・日本橋を起点とし、一里塚や宿場が整えられた。
脇往還[わきおうかん]
五街道以外の街道の総称。五街道と同様に幕府や諸藩が整備・管轄した。代表的なものには、西国(さいごく)街道(山陽道)、長崎街道、伊勢街道、北国(ほっこく)街道、水戸街道などがある。
追分[おいわけ]
二つの街道が分岐・合流する地点を呼ぶ。荷物を運ぶ牛馬を、目的地に向けて追い分けたことが語源と伝わる。民謡の「追分節」は中山道追分宿などの馬子(まご) 唄が源流という。
一里塚[いちりづか]
1里(約4km)間隔で築かれた小さな塚(盛り土)。道の両側に 一つずつ築かれ、エノキや松の木が植えられた。旅人が距離を測る目安となり、木陰はよい休憩所に。
宿場[しゅくば]
幕府が定めた「宿駅伝馬(てんま)制」を支える拠点。宿駅伝馬制とは、公用の書状や荷物を宿場から宿場へ継ぎ送りする仕組み。旅人向けの宿泊施設や飲食店、商店などが軒を連ねた。
間の宿[あいのしゅく]
宿場と宿場の距離が離れていたり、峠などの難所があったりするときに休憩場所となった集落のこと。正式の宿場ではないため、旅人の宿泊は許されず、茶店などが並んだ。
関所[せきしょ]
街道の要所に置かれた検問所で、通行には手形が必要だった。「入鉄砲に出女」といわれたように、江戸への武器の持ち込みと、人質として江戸に住む大名の妻子の抜け出しは特に厳しく取り締まった。
本陣[ほんじん]
公家、参勤交代の大名、幕府の使者などが休憩・宿泊した場所。宿場の有力者が務め、邸宅内に専用の門や駕籠(かご)から直接上がれる玄関、書院造りの上段の間などを設けた。
脇本陣[わきほんじん]
本陣の予備にあたる施設。参勤交代では、事前に到着日時や人数が宿場に知らされ、大名同士の同宿を避けたが、川止めなどで重なった際は家格の低い大名がこちらに泊まった。
問屋場[といやば]
公用の書状や荷物を継ぎ送りするための人馬の手配や荷物の管理などを担った。同じ宿場に複数ある場合は、日数を限って交代で業務を行った。
高札場[こうさつば]
幕府や領主が定めた御法度(法令)や掟などを板面に書き、一般庶民に知らせた掲示板のようなもの。宿場の出入口や中心地、橋のたもとなど、人目のつく場所に立てられた。
旅籠[はたご]
旅人や武士が利用した食事付きの宿泊施設。夕暮れどきは留女(とめおんな。客引きの女性)が店前に立ち、『東海道中膝栗毛』にも、弥次さん喜多さんが留女をからかう場面が登場する。
文=内田 晃 イラスト=諸橋 南
『旅の手帖』2026年5月号より






