オーシャンビューを客室の湯船から眺望できる贅沢も
活火山・雲仙岳がそびえる島原半島の西側、橘湾の海岸沿いに広がる小浜温泉。橘湾の海底にあるマグマだまり由来の火山ガスの影響で、源泉の温度は約105度と高温だ。湯温と湧出量から算出される放熱量は日本一を誇る。
温泉街の一角に佇む『伊勢屋』は寛文9年(1669)創業。長崎県内の宿泊施設で最も長い歴史をもつ。
建物は2020年に全面リニューアル。客室数を大幅に減らし、全室温泉付きでオーシャンビューの湯宿に生まれ変わった。夕日が茜色に染めた橘湾を客室の湯船から眺望できるのは、このうえない贅沢だ。
自家源泉かけ流しの湯にじっくり浸かるなら、大浴場がおすすめ。源泉が高温なので、かなり熱いのでは……と思いながら湯船に入ると、さらりとした湯は意外にもほどよい温度。
「新鮮な源泉をそのままお楽しみいただくために加水はせず、天然素材で作った冷却装置“笹湯”で湯温を下げています」と女将の草野春奈さん。
大浴場に設置された笹湯は、吊るした笹竹の上部から源泉を落とし、笹竹を伝って流れ落ちる間に自然に冷ますというシンプルな仕組みだ。「塩分濃度が高い温泉なので体の芯から温まり、寝つきがよくなりますよ」
源泉が噴き上がるゴオーッという音を聞きながら、もくもくと絶え間なく上がる蒸気を見ていると、小浜温泉のエネルギーを実感。生まれたての高温の塩湯を、温泉成分が薄まることなく存分に堪能した。
小浜温泉へ行ったなら……
食事すれば温泉入浴が無料に! 『味処湯処 よしちょう』
1階が温泉、2階が食事処。自家源泉から湧く湯は高温のため加水されているが、それでも熱い。湯加減調節して入浴しよう。食事処では日本三大ちゃんぽんの一つ・小浜ちゃんぽんをはじめ、海鮮丼や寿司などが人気。
取材・文=佐藤 史 撮影=玉村恵理子
『旅の手帖』2026年2月号より






