シックで町の雰囲気に溶け込む外観ながらも、軒先の苔玉などどこか素通りできない感性に引き寄せられる。
女将の実家を改装したという店舗は、カウンター3席、テーブルに2席と小規模ながらもそれがまた心を掴む内装。
作家さんから購入されるという選りすぐりの食器も素敵。


さてさて、まずは温かいおでんで体温めて。
鰹節、昆布、はまぐり、干し椎茸からとった出汁がきいた甘め汁が私好みの仕上がり。

いずれの種も150円程~250円程とお手頃ながらも、とってもボリューミー!想像していた大きさの3割増しといったところだろうか。ワンコインあれば日本酒もかなり進むに違いない。
茶色は美味しいといいますが、まさにその通り。味が染みた大根やはんぺん、干ししいだけの出汁の甘味が、飲み込んだ後にふわーっと鼻の奥に広がる。深呼吸したくなる美味しさ。


おでんと日本酒の締めは「おしるこ」なんていかがでしょう。

自家製の粒あんは、粒立ちの揃った美形な小豆がごろごろと。たっぷり口に運んでも、小豆本来の風味を残したまままほろり。

白ザラ糖で炊かれたあんこと香ばしいお餅の組み合わせに花を添えるのが、自家製の醤油昆布。実山椒入りのピリッとしたアクセントが、素朴なおしるこを大人の甘味にメイクアップ。女将の粋なセンスがキラリ。


おしるこだとちょっとお腹に余裕がないな…という方におすすめなのが、練り切りと抹茶のセット。

元大手お茶メーカー勤務だった女将が立ててくれる薄茶と、2週間ごとに仕入れ先や意匠を変える練り切りにも注目。
言わずもがな、相性抜群の組み合わせと抹茶の香りと風味で口の中を引き締めて。


他にも小ぶりで可愛らしいサイズのおはぎやあんみつ、みるくや抹茶のプリンのご用意も!

冷えた体をおでんで温めてから締めに甘味をいただくもよし、
甘味で冷えた体をおでんと日本酒で温めてから寒空の下へ舞い戻るもよし。

予定や気分にあわせて用途を変えられる甘味処、もとい、一日中いたくなるような甘味処のわびすけさん。
おもてなし上手で博識な可愛らしい女将、立ち振る舞いがエレガントな大女将、看板猫もといグラマラスボディな美人店長のさくらちゃん(猫)。

なんでしょうね、大きな声で素晴らしさを叫びたいのに、自分だけのお気に入りにしておきたくなるようなジレンマは。
愛ゆえに、と言っておこうかな。

地元の女性陣や商店街の観光客が肩の荷を下ろせる、そして素の自分を出せるような、そんな甘味処。