洋風の小洒落た門構えや外観が印象的な街中の小学校・泰明小学校。
そのグランドから道路を挟んで伸びるのが、泰明通りです。

通り、といってもその長さは100メートルほど。ぼんやり歩いていたら「ここでおわり?!」と思わず振り返ってしまうほど。
数ある銀座の小路や路地の中でも、かなり短い道路なのではないでしょうか。
所要時間にして2分足らず。
けれど、その「2分間」の道のりには、なかなか濃厚な雰囲気を醸し出す看板が上からびっしり。マーブルチョコの大人版、とでもいえましょうか。

勿論いただくのは、チョコレートではなく、美酒と肴ですが。
お昼時はお出汁やイタリアンのような和洋折衷の芳香が左右から手招きをしてきます。
日暮れと共にここを訪れる人たちは、どんな味に舌鼓を打つのでしょう。

その中程に一本の暗闇、もとい、路地を発見。
眠っている人の脇をそっと通り抜けるような落ち着かない気持ちで、そろりそろりと足をすすめます。
ディープで個性豊かな社交場なのは間違いなさそうなラインナップ。

泰明通りより短いのに、こちらのほうが通り抜けるまで時間がかかってしまいました。見落としたくない、という興味と、微かな居心地の悪さに魅入られてしまったからでしょうか。
呼吸と整え、本日のお目当てへ。


飲食店が軒を連ねるコリドー街の中には珍しい、瀟洒な店構えの「銀座甘楽」本店さん。
銀座甘楽はグループ会社のひとつだそうで、大元の会社は1981年から和菓子を製造なさっている「武蔵製菓」さん。群馬県甘楽市にも素晴らしい工場をもち、可能な限り国産材料を使用し、小豆は北海道の契約農家から仕入れるという拘りが。
銀座での歴史は2005年からと、いわゆる銀座の老舗に比べると若いといえます。ですが、現在は都内や都内近郊合わせて約10店舗のお店を構えるという、勢いにのったお店です。
お目当ては、小ぶりながらももっちもちな皮が特徴的な「銀六餅」。

可愛らしいサイズのどら焼きは、北海道産小豆の粒あんが美味しいのはもちろんのこと、餅粉が配合された赤ちゃんのほっぺのような弾力に、私の頬も緩みます。


20年後、いえ、15年後。今まさに給食を食べているであろう子供たちが大人になったその時も、銀座は変わらず煌びやかで眩しい銀座のままでいるのでしょうか。
その裏で独特な光を放つ路地裏は、どのくらい残っているのでしょうか。
子供たちの成長と銀座の躍進で、「甘」くて「楽」しくなるような美味しいあんこをそっと挟んで。