せわしない日常から切り離された、クラシカルな喫茶店でいただく炭火焙煎珈琲と手作りケーキ
東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町」駅A5出口より徒歩数分。
王道の喫茶店に行きたい、なるべく禁煙のお店に行きたい。
そして丁寧に淹れられたまろやかな珈琲とケーキがあったらいいなぁ、なんて願いながら歩いていた昼下がり。
ふと現れた「珈琲」の文字に吸い寄せられてみれば、可愛らしさと重厚感がマッチした外観に心がときめきしばし思案。
「きっとここは間違いない。」
きぃ、というドアの音に招かれるように店内へ。いらしゃいませの声と、木材の床が程よく響かせる足音と共にカウンターへ。
マスターへ、マイルドブレドと季節のフルーツタルトのセットをオーダー。通り道のショーケースに並ぶケーキをチェックしておりました。素通りできるわけがありません。
私だけの1杯のためにマスターが淹れてくれる水音、そっと流れるクラシックのピアノ、離れた席から聞こえる誰かの「恋バナ」。
目の前に広が気品溢れるカップとソーサーに目を奪われていると、時間が経つのはあっという間。
「珈琲はカップも熱くなっておりますから、気をつけてくださいね。」
「いただきます。」マスターのアドバイスをもとに、まずは珈琲を。
湯気と共に鼻腔から体へ滑り込んでくるふくよかな香り、まろやかでスッと口の中に馴染む口当たり。バランスの良いお味は、いつまでも飲んでいられます。
証明に照らされて煌くベリーの誘惑に従い、そっと包みを開けば溢れるブルーベリー。
ブルーベリーのほのかな甘酸っぱさと、それを両手で包み込んでくれるような珈琲の相性が抜群でした。
バニラビーンズたっぷりのカスタードクリームとタルトも絶品。
「さくらんぼももう終わりですしね。北海道のだったかしら、そういう(大粒の)さくらんぼを選んでますから。」
「もう40年くらいになりますね、皆さんネットなんかで嬉しいことをおっしゃってくださっているみたいで。」
と、美味しいケーキの作り手奥様。
撮影や掲載を快諾してくださりありがとうございました。
「それでは、お先に失礼致します。またいらしてくださいね。」
と、仰ってくださった優しさと絶妙な距離感のおもてなしに心をほぐされて、私も最後の一口を飲み干しました。
「ご馳走さまでした。またお伺いさせてください。」
「はい、お待ちしております。」
まだまだ続いている「恋バナ」に背を向け、私は厳しい灼熱の空の下へ。
さて、次はどんなカップで珈琲を淹れてくださるのかな。どんなケーキをいただこうかな。
お店から3歩、すでに次の来訪へ思いを馳せておりました。