ワクサカソウヘイ(達人)の記事一覧

ワクサカソウヘイ
達人
ワクサカソウヘイ
文筆家
1983年東京都生まれ。エッセイやノンフィクション、コントライブ構成などを手掛ける。主な著書に『出セイカツ記』(河出書房新社)、『今日もひとり、ディズニーランドで』(幻冬舎文庫)、『ふざける力』(コア新書)などがある。
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ここは外国だと錯覚して散歩【もう、普通の散歩には飽きている/ワクサカソウヘイ】
私が暮らしている町は、当たり前だが、あまりにも「近所」である。国道、コンビニ、商店街、住宅地。そこは何度も足を運んだことのある場所であふれている。心の中のパスポートは生活圏スタンプが押されすぎてインクで真っ黒だ。つまらない、近所というのは、実につまらない。
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長電話で迷子散歩【もう、普通の散歩には飽きている/ワクサカソウヘイ】
ああ、迷子になりたい。子供の頃に味わった迷子の独特な感覚を、もう一度だけ、体験してみたい。「ここはどこ?」という、ちょっとしたスリルと不安が入り混じる、あの冒険的な興奮。帰れなくなるかもしれない恐怖と、その先にある未知。知らない街並み、知らない銅像、知らない駄菓子屋。そのひとつひとつが、妙に輝いて見えた記憶がある。
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あえて傘をささずに散歩【もう、普通の散歩には飽きている/ワクサカソウヘイ】
雨に濡れてはいけないなんて、いったい誰が決めたというのか。たしかに、雨に濡れると服が重たくなるし、風邪をひくし、格好も良くはない。しかし、雨に濡れることをそこまで忌(い)み嫌うというのも、よく考えたら妙な話だ。我々は、傘をさして必死に空からの雨を避けるのに、帰宅したらすみやかにシャワーを浴びることを楽しむという、けっこうな矛盾を抱えた生き物である。濡れたくないのか、それとも濡れたいのか。私は自身に問いかける。そうだ、時には思いきり、雨に濡れながらの散歩をしてみてもいいのではないか。
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アウトソーシング犬散歩【もう、普通の散歩には飽きている/ワクサカソウヘイ】 
正直に告白する。私は、散歩に飽きている。街を歩くのは嫌いじゃない。むしろ、趣味の母体ですらある。散歩のない人生なんて考えられない。そう信じていたのに、同じ道を、同じ足で、同じように歩く、ということに、ある時からじんわりと退屈さを覚え始めてしまったのだ。
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