大崎の「平和軒」でワンタンメン。
五反田でお昼。なら「あそこ」と気になっていたお店を目指す。茹だる暑さに少しめげつつも目黒川を渡り山の手通りを大崎の方へ。
大崎警察署を曲がり立正大学に向かう坂を登る。このあたりかなとのぞく階段の先に「あそこ」を見つける。
住宅並ぶ細い路地に色褪せた黄色いテントに掛かる暖簾。袖の看板に消えかけ薄っすらと中華料理「平和軒」。
なかなかのロケーション。汗を拭きしばし見惚れる。
開け放しの扉。暖簾をくぐりこんにちは。年季のはいるモザイクタイルの床に小さなテーブルがふたつ。の奥に厨房。の中のおやっさんに迎えらる。
横の小上がりにお邪魔する。独り占めのエアコンが唸りテレビが流れる奥に広がるそこそこな広間。窓の外に広がる青空。どこかの田舎の親戚の家を訪ねたかのように足を投げ出し寛ぐ。
メニューを眺め、「ワンタンメンくださーい」とお願いする。麦茶を汲み、しばらくニュースを眺めぼんやりとする。
少しして運ばれる「ワンタンメン」。お待たせしましたとトンとテーブルに置かれる。
てらてらとオイリーな汁に、茶に染みる細いメンマが中央に陣取り、肉厚のチャーシューにごろりとワンタンが沈み、ナルトが乗り葱が散る端整な麺顔。そそる。
いただきますとレンゲでズ。あ、やさしい。奥深くまろやかに広がる旨みとコク。おいしい。うん、おいしい。しばらくズズ。
ワンタンを摘む。ぴろぴろのモチとした皮に包まれるみっちりな餡。王道。もぐもぐと平らげる。
啜る麺はかすかに小麦なストレートの薄い黄色の細めの麺。するすると喉を通るプツンとした歯切れの良い自家製麺。
かぶりつく肉はムギュっと柔らかいステキな肩ロース。が2枚も入る。
味染みるメンマをカリコリとし、最後にと残すナルトを口にする。しっかりと汁を飲み干しごちそうさま。懐かしさに胡坐をかかないイカすラーメン。
目黒ではじまり、五反田駅前から、この場所に移り50数年。ラーメンが500円。学生さんの大切なお店だろうと思う。
お会計の際に「忘れ物ありませんか」とやさしく声を掛けられる気遣い。いつまでもとわがままに思う。