新見市は、寒暖差のある地形を生かした豊富な食材の宝庫、A級グルメの街でもあります。

日本最古の蔓牛(つるうし)をルーツにもつブランド牛「千屋牛(ちやぎゅう)、国産キャビア、ピオーネ、ワイン、映画、ドラマの「八つ墓村」ロケ地としても有名な鍾乳洞の「満奇洞」に「井倉洞」等々、多くの観光資源に恵まれていますが、

わたしが、新見市で、一番にしたかったことは、まずは街を歩き回ること。どこに旅しても、その地に住む人々の日常を、見たい、聞きたい、感じたい、という気持ちがあります。

前日の16時ころ、新見駅に着き、駅から徒歩7分ほどの「新見ビジネスシティーホテル」に泊まり、翌朝、駅前の「新見市観光案内所」で相談すると、

新見初代藩主、関長治せきながはる候が作った「御殿町ごてんまち」という、江戸時代から続く街並みが保存されている区域があることがわかり、

駅前から高梁川たかはしがわ、沿いに歩くこと15分、御殿地区で、出会った人々との束の間のおしゃべりは、本当に楽しかった、

そこで、見たこと、聞いたことを忘れたくない、共有したい、という気持ちが、投稿の動機となりました。

新見市にやってきたのは10月9日、偶然にも、15日に開催される、「船川八幡宮秋季大祭」、別名「土下座祭り」が間近に迫り、

商店の店先や街角には、祭りの告知ポスターが貼られ、お祭り準備の真っ最中でした。

◆「土下座祭り」は、正式名称を(御神幸武器行列ごじんこうぶきぎょうれつ)と言い、大名行列のこと。

元禄10年(1697年)、新見藩の初代藩主、関長治せきながはる候、が、地元の「船川八幡宮ふなかわはちまんぐう」の秋祭りに参拝した行列を、沿道の人たちが頭を下げて出迎えたことが始まりとされ、現在も当時のしきたりを忠実に継承しており、300年の歴史をもつ無形民俗文化絵巻です。

◆「御殿町センター」の方のお話で、興味を惹かれたのは、上の画像、展示コーナーの「土下座祭り」のミニチュア、でも確認できますが、
*撮影許可頂いています。

「行列が通過するあいだ、沿道の人々は、座るか腰を低くし、場所を移動しない」という、当時のしきたりを、再現するところ。

かみしも姿の氏子たちが行列をつくり「下に、下に」という声とともに境内を出発し、市の中心部の往復およそ3キロの道のりを練り歩きます。

その様子はとても静かで、一般的なお祭りの賑やかな感じとは一線を画す光景で、「わたしは、その感じがとても好き」と、「御殿町センター」の方がお話する様子が、誇りに満ちていて、羨ましかったのです。

また、観覧する人々の前に、小山のようなものが見えますが、これは「清めの盛り砂」、手作りなんだそうです。

◆御殿町を散策中、「青柳本舗」という和洋菓子屋さんが目につき、母が大好きだったレモンパイを買い、近くの無料休憩所「太池邸おおいけてい」で頂くことに。

メレンゲの下にどっしりとしたレモンのカスタードクリーム、酸っぱくて甘~いお馴染みの味です!

「御殿町センター」の方の話によると、この店は、元は、和菓子が主で、祝い餅も作っていた、とのこと。

お店のHPには

「新見市菓子舗先代芳蔵は江戸北槙町類代銘菓子鯉屋、伊織家に生まれ、年長して青柳の号を受継ぎ、故あって新見の地に店舗を移し、東京銘菓として名聲近郷に知られ、菓子は青柳青柳の菓子と皆様の御愛顧を賜ってまいりました。後略」とある。

また、昭和天皇がお越しになった際、伝統の「栗羊羹」の献上もされた、由緒ある和菓子屋さんなんです。

レモンパイで一休みした「太池邸おおいけてい」は明治末期の建物、元々は百貨店として呉服をはじめ様々な商品を扱っていた商家、現在は、地域の交流拠点施設として様々なイベントで活用。

そんな由緒ある空間で、スタッフの方々と雑談をしながら、新見市の歴史や土下座祭りのビデオを鑑賞した時間が心地よく、実家に帰ったような気がしたものです。

*青柳本舗/新見市新見919
TEL0867-72-0359
https://aoyagi213.amebaownd.com/

*太池邸 新見市新見851-1 TEL0867-88-0490

◆その「太池邸」の斜め向かいにも、目を惹く木造の建築が。ミニギャラリーも併設する、明治32年創業「カツマル醤油」でした。

店内には、地元特産品、歴史を感じる小物類が随所にセンス良く施されており、御殿町巡りにおいて、欠かせないスポットです。先代の社長とおぼしき方と女性スタッフの、にこやかな応対につられ、

広島出身なこと、祖父母の家があった芸備線乗り通しの旅で新見市を訪問、岡山は、言葉と食べ物が似ていて懐かしい、芸備線一部区間廃線危機のニュース、など、伯備線の旧型列車の写真を眺めたり...と、しばしお喋りを。

帰りがけには、「昔しょうゆ」とさしみ醤油の「いち紫」のキュートな小瓶を、手に入れました!ラベルが素敵なんです。

使い切った後も、引き続き、醤油差しとして使うつもり。醤油を差す度に、この時のことを、思い出せそうです!

*カツマル醤油醸造株式会社 
岡山県新見市新見854/TEL(0867)72-2251

◆新見駅から、御殿町に向かう途中、「赤飯、祝い餅」の手書き風看板が目を惹き、中を覗いていると、お店の女性が、出てこられ、神社奉納のお餅を作っている最中、とお話を。

「岡山県の最北端寒冷の地、備中千屋で収穫される「ヒメノモチ」と呼ばれる品種の新米100%使用し、杵でつきあげた腰の強い、粘りのある手づくりの餅」なんです!

そんな貴重な作りたての【丸餅】を頂いてしまい、誘惑に勝てず、その場で、齧りついてしまった...

柔らかくも噛み応えのしっかりとした、ザ・お餅!の味です。ところで、関東では、【角餅】が普通ですが、故郷広島や西日本では、一般的には【丸餅】ですぞ。
*掲載許可、頂いています。

*「備中新見庄 鬼っ子」横見食品株式会社
岡山県新見市西方53の6

これから11月にかけて、満奇洞や井倉洞など、【映えスポット】で名高い鍾乳洞の見学がてら、紅葉を愛で、A級グルメの数々を味わい、などなど...ワクワクしそうです。

わたしはといえば、「土下座祭り」を体験しに、再び訪れるつもりです!


参考: 【新見市観光協会】(新見駅前)/岡山県新見市西方472-10
HP/https://niimi.gr.jp/
TEL:0867-72-1177


【御殿町センター】岡山県新見市新見858
TEL/0867-72-6660
藩主・関家にまつわる資料や「土下座まつり」のミニチュアなどの展示コーナーなど。

◆満奇洞/新見市豊永赤馬2276-2
TEL 0867-74-3100
◆井倉洞/新見市井倉409
TEL/0867-75-2224

◆アーリーモーニング/新見市大佐小阪部2239-8
TEL/0867-98-3939
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