10時30分だと、ランチにはまだ早い。この時間に開いているお店といえばカフェやチェーン店ぐらいなものだ。
だが、こっちはすでに仕事を始めて7時間以上が経過。なんならすでに1日分の仕事を終えた気分だ。軽食でいいかと問われれば、答えは「NO」だ。
訪れたのは大宮駅東口の目の前で70年以上続く大宮のランドマーク「いづみや本店」。午前10時から営業している埼玉を代表する老舗大衆酒場だ。
しかし、一歩足を踏み入れてビックリ仰天!
なんとすでに満席。顔を赤らめた先輩方が、朝から元気に盛り上がっているではないか!
でもまだ諦めないよ。だって「いづみや本店」の隣には「いづみや第二支店」があるのだから。
「第一支店はどこいった?」という疑問については、また改めてお話ししよう。何しろこっちは腹ペコなんだ。

壁一面に貼られたメニュー。いつ見ても安い!
しかも、その中にちゃんと定食メニューもある。
「さば味噌定食」や「焼肉定食」といった定番から、「串かつ定食」や「イカフライ定食」といった揚げ物まで。さらに丼物に麺類、「カレーライス」に「チキンライス」まで網羅してある。
とにかく腹が減っているし、ここはガッツリ食べたい「とんかつ定食」か?
いや待て。老舗大衆酒場が作る「ラーメン」にも興味があるぞ。

そうこうしていると、
「お客さん、飲み物どうします?」
と、元気な声が聞こえてきた。
「いづみや」で働くお姉さまたちは、いつ来たって元気がいい。オードリー・ヘップバーンとは違った魅力に溢れている方々だ。
それにここは大衆酒場、飲み物を頼まなければはじまらない。
「生中……、いや、大で!」
またやってしまった。
生小 450円
生中 630円
生大 850円
値段じゃの下に書いてある「違いがわかる器の大きさ」という文言には、いつも反応してしまう。
ジョッキのサイズを指したコピーだということは明白なのに、どうしても酒飲みとしての器の大きさを問われているように感じるのだ。
私の人としての器が小サイズなのは置いておいて、1リットルの大ジョッキに注がれたビールに注目してほしい。
晴れ渡る空のごとく澄みきっている!
朝食前のビール。まさに至福の時間だ。

ビールを1口2口飲んでいると、「煮込み定食」の登場だ。
「いづみや」名物の煮込みとご飯、味噌汁、漬け物、昆布の佃煮、冷奴、ふりかけが付いた正攻法のメニュー構成。ど真ん中の直球で勝負している感じが最高じゃないか。
定番の「煮込み」は、「いづみや」を訪れたら絶対に頼みたい逸品。酒にはもちろんメシにも合う。
毎回頼む定番メニューは、朝食で訪れたとしてもやっぱり食べたくなる。
歴史を感じる瓶に入った七味唐辛子をかければ、準備万端だ。後は存分に味わうのみ!

美味い「煮込み」があれば、ビールもご飯も一瞬にして吸い込まれてしまう。
これで今日1日も元気に過ごせそうだ!
食後の余韻に浸りつつ、時計を見てみると……あれ? まだお店に入ってから20分しか経っていないや。
外は寒いし、もう少しのんびりしよう。
「すみません。燗酒と煮込みをおかわりください!」