むむっ! ジョッキの約7割、黒ラベルの星マークと同じ高さまでの多過ぎるナカだ。「測り方がよく分かってないんだよ」と冗談ぽく言うマスター。その目は間違いなく〝確信犯〟だ。


続いても同じ中野、新中野にある『なべ屋 鍋屋横丁』だ。やきとんのおいしい店でいつも混んでいるのだが、その混んでいる理由はやきとん以外にもあるようだ。もちろんそれはホッピーの〝過ぎるナカ〟だ。
実は、最初に頼むホッピーセットではそれほどナカの量は多くないのだが(それでも五割くらい)、ここのホッピーの真骨頂は〝おかわりナカ〟にある。

およそ7割5分、おかわりした途端にこの強烈さ! はじめからこれくらいだと気を張って飲むことが出来るが、気が付かないうちにナカを追加、追加としていると、絵に描いたような泥酔状態が出来上がる。


ところ変わって今度は東洋一の繁華街、歌舞伎町。その中でも奥の奥、怪しげな通りの雑居ビルの地下に『地下ん屋』がある。初見はかなり入るのに勇気が必要な佇まいだが、中へ入れば明るく広々とした空間が広がる。ほっと安心するのは束の間、すぐに目玉が飛び出ることに。

焼酎が別ボトルで出される〝自己責任タイプ〟のナカ。これを自己責任でジョッキにすべて注ぐと、驚異の8割弱をマーク。さらに恐ろしいのが、ここの料理がどれも旨過ぎるということ。旨いからどんどんホッピーが進む、それがどういう結末を迎えるかは想像に容易い。


続いては働くお父さんたちの街、神田にある『大松』だ。ここは〝いわし料理〟の老舗で、そのひとつひとつが熟知され完成されたものばかりだ。そんないわし料理の名店が出す多過ぎるナカがこれだ。

おおっ! ジョッキの約8割5分程度か、これは〝お冷〟と間違って一気に飲んでしまったら大変なことになる量だ。はじめて訪れてこれが出されたときは、思わず「えっ!?」と声に出てしまったことを、しっかりと覚えている。


満を持してラストを飾るホッピーの〝ナカ〟多過ぎる酒場が、またもや新中野にある『藤吉郎』だ。店内は民芸風で落ち着いた雰囲気なのだが、ここでゆっくり飲もうにも〝過ぎる酒場〟がそうさせない……さぁ、刮目せよ!

純正ホッピージョッキの、なんと九割を埋めるナカ……見ているだけで酔っぱらいそうだ。これが仮に水だったとしても飲むだけで時間がかかるというのに、どうやってコレと対峙すればいいのか。もちろん、この酒場で過ごした大半の記憶は失っている。まさに〝狂気〟といっても過言ではない。


いかがであっただろうか。
今回は5選と、麦汁だけにしぼりにしぼった結果だが、世の中にはホッピーの〝ナカ〟が多過ぎる酒場はまだまだある。そんな〝過ぎる酒場〟を是非とも探してみて欲しいが、今度は身体が〝壊れ過ぎる〟可能性があるので、ほどほどまで……


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)