吉祥寺の「みんみん」のあさりチャーハン。
息子の用事で吉祥寺の日。楽しみでしかない便乗商法。どこに行こうかと前の晩から眺めるグーグルマップ。
用事を片付けぶらつく昼どき。凄まじい日差しの中、歩く歩く歩く。吹き出す汗、ラーメンは無理と眺める井之頭公園のスワンたち。
とりあえずここで缶ビール飲んで済まそうかなんて投げやりな気持ちが湧き上がるも鞭打ち昇る階段。
昨日の楽しみが吹っ飛ぶ大暑。まったく食欲の欲が湧かない昼時。辿り着いた駅ビルでクールダウンして気持ちを整える。
汗も引き熱も放熱して少し湧く食欲。よし、珍来亭で濃い醤油のラーメンで塩分!と目指すハモニカ横丁。
勇み到着すると、あれ、暖簾が掛かってない…。店頭に貼られる貼紙には改装工事の為云々と...。
とぼとぼとあそこは絶対並んでるよと少し不貞腐れて一つ隣の路地に入り眺める先に並びのない店頭。
ドア越しに店内を覗くと空いているカウンター。躊躇せず「みんみん」と白字で染め抜かれる赤い暖簾をくぐりこんにちは。この場所でほぼ50年のキング・オブ・老舗。
「カンターにどうぞー」となんとなく気怠く声掛けされ席に着く。いつもの風景。奥に伸びる厨房に添うカウンターにその横に3席のテーブル席の小さい店。
席に着き壁に貼られる黄色に黒文字のメニューを見て変わってないを確認していつもの「あさりチャーハン」をお願いする。
餃子でもラーメンでもなくここではいつもこれ一択。餃子を食べたいなと思うけれどここのモッチり生地のジャンボな5個入りの餃子は一人で食えないといつも躊躇。
ずっと抱える一つだけ食べたいの我儘。
フル回転の焼き場の親父。餃子を並べ、焼き、水を差し、少し放置して、焼き上げ、皿に盛り配膳する。
それぞれのテーブルに運ばれるきつね色に焦げ目の付くぷっくらとした餃子に心惹かれるも、やっぱり5個は無理と思わせるジャンボな餃子。
そのあいまにガコンガコンガコンと炒めるチャーハン。「二つ行くねー」とカンッ!と小気味良い音をさせて皿に盛り手渡されるチャーハンと一緒に運ばれる白湯なスープ。
大ぶりのザーサイが添えられた、頭にグリンピースが5粒のるチャーハン然としたいつものチャーハン。
覗くあさりに躍る心。いただきますと啜るスープはしっかりと熱々の野菜の旨みが満るやさしいスープ。
頬張るチャーハンにたっぷりと混じるあさり。ぷにと噛み締めると溢れる旨み。これこれ、うん、おいしい。
パラパラってなんじゃいな食べ心地のたまごがからむしっとりもっさりとした腹に溜まるチャーハン。いい塩梅の旨みとゆるい塩けに浸る
たまに出会うチャーシューの切れ端に喜び、ザーサイをボリボリと噛み締め、スープであっさりし、レンゲで掻き込みもさもさと頬張るしあわせな時間。
最後にレンゲに付く米粒を大切に頂いてごちそうさまと席を立つと司令塔の親父からお代がレジのお姉さんに伝えられ、一度外に出てお持ち帰りの窓口でお会計。
満足に包まれてモスクワとアヒルビアホールのお姉さんが楽しそうに会話する間を突っ切り横丁を出る。
帰りのバスで浸る余韻。ごちそうさまでした。