〝日本のインド〟とも呼ばれる異文化の町『高円寺』で、地元民に長年愛され続ける『タブチ』。ここは駅からも近く、ランチには高円寺っ子の胃袋を満たし……いや、満たし過ぎているのである。
満たし過ぎている、とはどういうことか……この日もランチに訪れ、「ダブルおまたせしましたー」という女将さんの声の合図で、受け渡し口のソレを取りに向かうのだが……
大・大・大迫力!! 『牛丼&カレーのW盛り合わせ』、人呼んで〝ダブル〟である。大皿の片方にはカレーの海、そのまた片方には牛肉の山、まるで自然のジオラマ模型のようだ。この迫力で値段はなんと、たったの700円だから驚きである。何度見ても圧巻される量……私の思いつく〝大盛り〟と言ったら、やはりここになるのだ。もはや〝いただきます〟ではなく〝チャレンジスタート!〟だ。まずは、カレーからチャレンジ!
これそ〝カレー色〟という食欲をそそる色に、ジャガイモやタマネギが優雅に浮かんでいる。最大の特徴は、かなり〝甘い〟ことだ。子供用のカレーと言ってもいいくらいだが、この甘さの理由は後になって分かるのだ。
まさに、牛肉のチョモランマ! 牛丼屋で食べる大盛り一杯分の牛肉よりあるだろうか。醤油味がよく染みた柔らかい牛肉に、大量のタマネギの甘味が絡んで旨い。カレーと牛肉の下には、中盛りのご飯も潜んでいて、それらを甘口のカレーと一緒に、スプーンで飲み込むように食べる。
毎回、「食べきれるかな……」と不安なになりつつもスプーンは止まらず、あれよあれよという間に完食できてしまうのだ。その理由こそが、カレーの甘さにあるのだ。この量でカレーが辛かったらどうだ? 舌はヒーヒー、水をゴクゴク、攻略はかなり難しいものになるだろう。辛さによって余計な神経を使わなくていい、見事なバランスによってこの大盛りは仕上げられているのである。
「プフゥ~……食った」
ランチどころか、ディナーまで腹持ちする大盛り激安牛丼カレー。高円寺へ古着を買いに来た際には、是非ともチャレンジしていただきたい。
あ、そうそう。古着の試着は先に済ませてからを強く勧める。
取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)