吉祥寺の「洞くつ家」でラーメン。
学校の帰りに寄り見つけたスニーカーが気になるので一緒に見てほしいと向かう吉祥寺。試し履きするスニーカー。かっこ好いねのことばに満足しこれにすると貯めた小遣いで嬉しそうに買う息子。
その足で遅いお昼と向かうはオデヲン座の向こうのヤマダデンキを曲がりすぐのビルの奥。ずいぶんと久しぶりと辿り着くとおもての看板が以前の洞窟っぽいかわいいフォントの看板からクールでおされな英表記のロゴに変わったねの「洞くつ家」。
今は戸塚店のみ残る六角橋の六角家本店で修行をし、吉祥寺武蔵家を共同で開業したのち2003年に独立しこの場所で始まるお店。入口には今も横浜六角家姉妹店と掲げられる
傘を置きこんにちは。券売機でラーメンと中盛りラーメンをポチとしてこちらへどうぞと案内される。鰻の寝床のような厨房と添う長いカウンターが奥に伸びる店名にもなる洞くつのようなお店。
明るく元気で活気あるお店の黒Tで揃う男子たちに迎えられる。お好みはと聞かれ、息子はふつう、自分は麺柔らかめと伝え席に着く。
ぐりぐりと寸胴を掻き混ぜて、麺を上げる司令塔なお兄さんの楽し気で小気味良い調理を眺め待つ時間。
息子のふつうが先に配膳される。スープを一口飲み旨っと呟き進む箸。だろと見守る父。おいしそうに頬張る息子を眺めながらしばらく手持無沙汰で待つ。
しばらくしてお兄さんたちの、「柔らかめ上がりまーす」、「柔らかめ上がりまーす」、「柔らかめ上がりまーす」と輪唱でのお知らせを受け身構える。
とんと高台に置かれるラーメン。
両手で持ちゆっくりとおろすと泡立ち鶏油の輪が泳ぐ薄茶の汁に突き刺さる海苔とたっぷりの緑のほうれん草に桃色の肉が乗る凛々しく端正な顔立ち。
うん、これ。
レンゲと箸を取りいただきます。スープをズ。暴れる動物のコクと旨みをギュッと詰め込んで角を取りやさしく円やかにバランスよく仕上がるいつまでも飲めるやさしい豚骨醤油。
うん、これ、これ。
ヌラヌラすべすべの平打ちの柔なもっちりな麺を汁を飛ばし啜り上げ、スープが染みるシャッキリとしたほうれん草とむっちりとした肉を頬張り、頃合いで海苔をスープに浸し麺を巻き頬張るしあわせ。
うん、これ、これ、これ。
おいしいだろと、たまに息子に押し売りし、頷く相槌に大きく頷き、会話なく過ごす良い時間。
箸で掬えるものはすべて平らげて、丼を持ち最後の一滴まで汁を飲み干し余韻に浸る。その姿を見て同じように丼を持ち汁を飲み干す息子。気持ちよく完食完飲。丼の内側に現れるコウモリをあしらうロゴが良い感じと眺め、お互い満たされて心地よく一息つく。
丼を高台に置き「ごちそうさま」と席を立つと、元気よく「ありがとうございましたー」と気持ちよく見送られ店を出る。