東京の板橋駅からほど近い場所に『北海 三四郎』がある。看板やテント屋根の味わい、暖簾の褪せ具合、全体のバランスが完璧に近いこの外観に息を飲む……いや、本当に飲みたかったものは店の中にあったのだ。

なんとも珍しい『牛乳ハイ』が、ここのマストドリンク。北海道の雄大な大地を思わせるズシリと重いジョッキには、オホーツクの流氷の如し、氷がビッシリと浮いている。そこへ、富良野のパウダースノーのように白い牛乳ハイが並々と注がれている。飲んでみると、これが意外や意外、牛乳と焼酎の相性は抜群で、牛乳の独特な風味を焼酎がすっきりと飲ませてくれるのだ。

北海道といったらチーズ、それならオススメにあった『三ちゃんチーズ』を頂かない手はない。一見、グラタンのようだが、ジャガイモと明太子をチーズで覆った洋風料理だ。

熱々のところにスプーンを入れると、ホックホクのジャガイモに明太子の塩気、とろけるチーズが糸を引いておいしい。修学旅行のレストランでも、こんなのを食べて感動したなぁ。

そう、ここは店名の通り〝北海道〟を満喫できる酒場なのだ。さらにもう一品いこう。

こちらも〝ザ・北海道〟と言わんばかりのネーミング『札幌バター』だ。こちらもジャガイモがメインで、ピーマン、タマネギ、ニンジンが豪快に焼き上げられている。たっぷりのバターの風味が〝これでもか!〟と押し寄せてきて、濃厚バターのコクをパリッとした野菜がちょうどいいバランスに仕上げてくれる逸品だ。しかし、バターは分かるが〝札幌〟の名はどこから出てきたのだろうか……よし、謎解きついでに牛乳ハイをおかわりしよう。


ひとりで牛乳ハイをジョッキ3杯、チーズとジャガイモをたらふく食べて、思わぬ北海道気分を味わうことが出来た。
でも、ちょっと食べ過ぎたな……3㎏はないとしても、こんな素敵な酒場を知ってしまったら、今なら〝中年太り〟に拍車がかかりそうだ。


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)