国分寺の「メランツァーネ」のスパゲティ。
準礼装で吉祥寺でお昼のハレの日。こんな日はパスタとピッツァでワインじゃねと街を歩くもなんとなくピンとくる店が見つからない。
さてどうしようと悩み、そうだあそこでスパゲティと思い浮かび中央線に乗り国分寺まで戻る。
南口を歩きすぐのビルの入り口に掲げられはためくイタリア国旗。その横に木を彫り浮き出るコックの大きな看板。彫り込まれた店の名は「メランツァーネ」。
ここここと細い通路を奥に進むとその先にイタリア。白と赤と緑に塗られた壁と野菜を抱えるコックのオブジェと「スパゲティと気ままなイタリア料理の店」と名乗る茄子が描かれる看板。
1988年に開店した国分寺のイタリアンの老舗。「メランツァーネ」はイタリア語で茄子のこと。
ガラスの入る扉の先にいつものようにこちらを窺う店主。すっとナイスなタイミングでいらっしゃいと扉を開けて迎えてくれる。
イタリアなそれらしい雰囲気を醸し出す、カラフルな色の使いを黄土色の壁で包む温かな店内。
テーブルに着き眺めるメニューには、和風、オリーブオイル、トマト、クリームの30種ほどのスパゲティ。眼がおよぎ悩む。
キノコ大好きの妻はオリーブオイルのきのこローズマリー風味。おいらはトマトのナスとポルチーニ茸と生ビールをお願いする。
ランチタイムにつくサラダとパンが運ばれてから生ビール。ふつふつと湧き上がる気泡に喉が鳴る。お疲れ乾杯とぐび。おいしいと生き返る。
もくもくと湯気が立つ小さな厨房から聞こえるカチャカチャカチャと小気味良く鍋を振る音が心地よく鳴るお腹。
ゆっくりとサラダを食べ終わる頃に運ばれるスパゲティ。
白いお皿に大ぶりのナスとボルチーニ茸がごろごろと混ざる赤のトマトに緑の刻みパセリが降りかけられたほんのり黄色のスパゲティ。おいしそう。
フォークを握りくるくる巻いていただきます。むっちりなアルデンテ。絡むトマトのやさしい酸味。ふわふわのナスをほふほふと噛みしめると染み出る甘みにポルチーニ茸のムニムニとした食感と感じる香ばしい風味。おいしい。
頃合いでグラスの白ワインをお願いすると店主がテーブルで注いでくれるハウスワイン。キリリと冷えたキュッとした白の喉越しが堪らない。しあわせ。
くるくると巻いてとゆっくりと味わい楽しみ平らげて、皿に残るトマトソースをパンですくい頬張り満足する。
平日のアイドルタイムでもぽつぽつと訪れるお客。ビルの奥に息づく心安らぐイタリアン。ほんのりほろ酔いでごちそうさま。