新橋の「はるちゃんラーメン」の中華そば。
「新橋駅前ビル1号館」の1階で長く愛されたスタンドそば「三松」の跡地に現れたほっこりと柔らかな佇まいの「はるちゃんラーメン」。
厨房をLで囲む狭小のカウンター6席の小さなお店。女子店主はるちゃんのワンオペ。「ちえちゃんラーメン」から始まり増殖する「ちゃん系」の個性派。
メニューはそれな「中華そば」と「もり中華」の2本立て。木箱に収まる券売機で「中華そば」をポチとして通路の並びに付く。
店外に薫る煮干し。お腹が鳴る午後2時少し前。目の前でおいしそうにラーメンを啜る方々をガン見して眺め待つ。
一人立ち、一人立ち、お次の方どうぞーとはるちゃんにやさしい声で迎えられる。五歩進みこんにちは。カウンターの下に荷物を押し込み、そーっと身体を沈め座る。
食券を渡し、水を汲み、眺めるはるちゃん。
肉を切り小さなお椀に盛り、麺をデポに放り茹で、食器を片付け、洗い、どんぶりに汁を作り、茹であがる麺を湯を切りやさしく入れ、お椀の肉をかぽっとぶち込み、その肉を真剣な眼差しで整え、メンマ、葱、花柄の麩と海苔を添えて、「お待たせしましたー」と配膳。
力の抜けた余白ある無駄のない丁寧な所作にただ見惚れる。何度か見惚れ見送る後に届く中華そば。
ぬらぬらとあぶらがテカる黄金色のたぷたぷの水面にみっちりと肉と具。セクシー。
いただきますと啜る汁。ふわり薫り漂い詰まる煮干しの群れに溢れる旨みと膨らむコクの清湯なパンチ効く塩。おいしいおいしいおいしい。大ぶりのレンゲが止まらない。鼻から舌から浸るしあわせ。
引き摺り出し啜る麺はもっちりすべすべのつるんぷるんなエロい麺。箸に伝わる小麦の重み。心地よい噛み心地と汁を纏い滑る喉越し。清楚でエロ。堪らない。
荒々しい肉はほろほろと柔らかくタレが染み込むバラ肉のとろける脂身と肉の旨み。コリコリのメンマで箸を休め、それぞれを存分に味わいお腹に入れる。
はるちゃんとお話しを楽しみながらと思う距離感。も、並ぶお客さんの視線にゆっくり急ぐ。
残る「三松」の面影でとても幸福な時間。ごちそうさまでした。