浦和駅を出て『裏門通り商店街』を歩くこと数分。そこには提灯の赤々とした光を放つ『弁慶』がある。あれ、ちょっと赤いぞ……目を引くのが〝弁慶〟と大書された巨大な赤提灯。早くも、この酒場のイメージカラーを想像させる。

店に入り、はじめに頼んだのが『おでん』。そうそう、ここは甘めの出汁がしっかりと沁みていて、大根と卵が特においしかった。今気が付いたが、酎ハイジョッキのロゴ、おでんの器も赤いな……。

これも赤い!
目にも美しい『マグロカマ刺し』は、上品な薄紅色といったところか。分厚いところを箸で一切れ掴み、醤油をさっと潜らせいただく。すると思い出した……溶けたのだ、口に入れた瞬間このカマ刺しは、私の赤い舌の上で溶けてなくなり、直後「うまっ!!」と声を上げた。
そして、この後に頼んだのが……

あ・か・い──っ!!
店で食べる『馬刺し』は、凍っていてちょっと茶色っぽいのが多いが、これは百点満点の赤色だ。すりニンニクをたっぷり乗せて食べると、これがまた衝撃的な旨さだった。とにかくその柔らかい肉は、咀嚼(そしゃく)がほとんど必要ない。〝サシ〟の脂がまた甘くて、とろけると共に新鮮な馬肉の風味がふわっと口に広がる。『B-1』(BASASHI-1)グランプリがあったら、間違いなく決勝戦まで勝ち上がるだろう。

完全に、思い出した。
赤色、思いのほか多かったな。浦和のイメージカラーを意識してなのかは分からないけれど、間違いなくこの酒場のイメージカラーは赤色だった。
もちろん、酔っぱらった私の顔も、真っ赤っ赤になっていたのだろう。


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)