ここはまず『一番街』で最も有名といっていい『まるます家』へ行こう。平日は朝の10時から営業している頼もしい老舗酒場だ。まるます家といったら、『鯉のあらい』や『鰻の蒲焼』が有名だが、他にも旨いアテはたくさんあるのだ。

ソースをたっぷりかけた『イカフライ』は、熱々サックサクの衣とプリっとした歯ごたえのイカが絶妙なコンビネーション。『しめ鯖』の上品な酢の漬かり具合からは、しっとりと鯖の旨味がにじみ出る。それを、瓶ビールのグラスでキュキューッと流し込む……やはり、赤羽のスタートはここだ。

まるます家を出て、近くの『一番街シルクロード』のアーケードへ移動だ。歩いていると、なにやらおでん出汁のいい香り……『丸健水産』だ。

ここではもちろん、おでんを頂く。大根にガンモ、厚揚げに玉子。どれもデリバリー価格で安いのがうれしい。〝練りモン〟が特においしくて、カラシをたっぷりと付けたあとに、熱々の出汁を含んだところをハフハフやるのがたまらない。
忘れてはいけないのが〝出汁割り〟だ。おでんと一緒にワンカップの日本酒を買って、半分くらい飲んだらそれにおでんの出汁を入れてもらう。軽くふりかかった七味唐辛子が効いて、冬なんかはこれで体はポカポカ、そしてベロベロだ。

さぁて、ほろ酔い気分で三軒目に行こう。なぁに、店はすぐ目の前。『馬ん馬んいくどん』で、旨い肉刺しといこう。

赤羽で馬刺しといったらここ。安くて上質な馬肉を、思う存分堪能することが出来る。ブ厚くカットされた馬刺しは、ごらんの通りサシがビシッと入り、とろけるような甘味が口いっぱいに広がる。

ユッケだって文句なし、キュウリ、ネギ、黄身をごちゃまぜにした豪快かつ贅沢な味わいは、一度食べたらやめられない。


よし、エンジンがかかってきた! 次の店は……といった具合に、赤羽で飲むとなると〝ハシゴ〟を外すことが出来ないのだ、ハシゴなだけに。
それはさておき、酔っぱらう前にもう一度だけ言っておこう。

〝赤羽で飲むなら、ハシゴでしょ!〟

それでは、四軒目と参りますか。次は、西口側へと向かいまして……


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)