唯一無二、ユニークなスタイルのコーヒースタンド
京王井の頭線の富士見ヶ丘駅から徒歩4分程、通勤通学の人々が行きかうメインストリートに面したところにお店を構える蜃気楼珈琲。
チャーミングなドラゴンの看板とメニューが書かれた大きなブラックボードが目印だ。
様々なバリスタやパティシエが日替わりで珈琲やスイーツを提供したり、イベントもしたりするシェアリングコーヒースタンドという面白いお店の蜃気楼珈琲は、その場所の名前と『蜃気楼珈琲集団』という一つのチーム名を刺す名前でもある。
最近では珈琲参道というイベントに参加したり、福岡のバリスタが1日ポップアップ出店もしていた。
そんな蜃気楼珈琲の毎週月曜日の朝は
『女将の朝ごはん』
と題したモーニングをいただける時間なのだ。
体温が上がりきってない体を優しく温めるかのように朝陽がたっぷり差し込む明るい店内は、マスターやバリスタとお話が楽しめるカウンターや、一人ゆったりできる窓際の席、作業もできる中央の大きなテーブルなど思い思いの時間を過ごせる作りになっている。
モーニング担当のきゃなこさんは蜃気楼珈琲で金曜日の夜にも日本酒ソムリエとコラボして、和食と日本酒のペアリングを楽しむバータイムの営業も担当している。
季節をのせた、こころ喜ぶ和な朝ごはん
メニューは季節の食材を使った週替わりの和定食が1種類のみ。
けれどそのワンプレートには、小鉢からメインまで、バラエティ豊かなおかずが彩り豊かに盛られた見事な一汁三菜だ。
ほかほか湯気立つ釜炊きご飯にDNAから喜んでいるのがわかる。
この日の献立は、メインの豚しゃぶサラダに小鉢はとうもろこしのスパイス炒めとトマト昆布和え、旨味がしっかりある根菜の澄まし汁。しゃぶしゃぶは甘めの自家製ごまだれとピリ辛自家製ポン酢から選ぶことができた。
繊細な味が体にしみる澄まし汁をすすると、お寝坊さんな私の胃も気持ちよく目覚めてくれる。
優しい甘さがはじけるコーンや塩昆布の程よい塩味が加わったさっぱりトマトは食べやす。軽くソテーされたイエローのズッキーニが豚しゃぶサラダに味と見た目のいいアクセントだ。
食材のもつ美味しさに、改めて
「日本に季節があってよかったなぁ」
と思わずにはいられない。
たくさんのおかずに白米はすぐに消え、少し恥ずかしそうにおかわりをお願いすると、ジブリのお母さんキャラの様に、にこやかに笑ってご飯をよそってくれた。
「おかず足りなかったら使ってくださいね」
と出されたふりかけは懐かしい『まごにやさしいふりかけ』。
小学校の頃よく給食で出てきたり、おばあちゃんが買ってきていたのを思い出した。
ゆったり過ごす朝の時間でいい一日に。
「お兄さん、若いけど、もしかして同じくらい?」
とフランクに話しかけてくれるきゃなこさんは、店内にいた他のお客さんとも朝の世間話を楽しそうにしている。
和食屋の女将のような心地のいい会話の間合いに知らず引きこまれていく人は多いかもしれない。
明るい空間で朝食を楽しんでいると、ひとり、またひとりときゃなこさんの知り合いや、蜃気楼珈琲で出店する人、地域の方も和定食を求めて訪れ、閉店前には完売。
どうやら人柄と味が、街の人にもしっかり愛されているのが伝わる。
週初め、月曜の朝に活力をくれる和定食でいいスタートが切れそうだ。