曲がり角の目印は焼き鳥屋さん。美味しそうなにおいと、美味しそうな表情を横目に路地を入っていくと、真っ赤な壁に青い扉のお店があります。

一瞬、バーなのかな?と思いながらも「インド式スパイスチャイ専門店」と書かれた貼り紙を信じて扉を開けると、あ、やっぱりバーカウンター。そうでしたか、お酒のお店でしたか……(今はお昼間)。でも、ふとそのとき目に入ったのは、なんだか可愛い花柄のやかんでした。

実はここ、夜はアイリッシュパブ、昼間はチャイ専門店「MOCS」(モックス)という二つの顔を持ったお店なのです。

MOCSのメニューの多くはインドで有機栽培されたスパイスが使われているのだそうです。店内には独特の香りが漂っていて食欲をそそられます。まずは国産地鶏のチキンマイルドカレー(1500円)をいただきました。

サラダとともにプレートにたっぷりと盛られたスパイスカレー。味はとてもまろやかです。辛いのかなと想像していたのですが、どこか甘みも感じられ、複雑な味がします。生クリームを使用せず、コクを出すために甘酒を使用しているのだとか。

お次にチャイラテ(600円)を。茶葉はやはり有機の紅茶を使っているそうで、甘みは甜菜糖。シェフが素材や産地の説明をしながら提供してくださるので、そのこだわりが伝わってきます。

スパイスをゆっくり味わいながら飲んでいると、おなかの底からポカポカと温まってくるのを感じました。

お店の2階では英会話教室がおこなわれているようで、時折元気に英単語を練習する声も聞こえてきます。パブ、スパイス、英会話。なんだか不思議な空間でまったりとした心地になってきました。

たまには少し視線をずらして路地裏をのぞいてみると、新しい味と出会えるものですね。チャイは、ソーダやレモネード、お酒と合わせたメニューもあるようです。またじんわりと温まりに行きたいと思います。