三軒茶屋から世田谷線へ乗り継ぎ、上町で降りて歩くことすぐ、世田谷通り沿いにある『亞細亞食堂サイゴン』は、その名の通りベトナム料理の店だ。そう、私の中でグルメ・ワールドカップの代表にしたいのはベトナムグルメである。

わちゃわちゃとした店の外観、中へ入ると奥の席では世田谷線がギリギリのところを走っている。まさしくアジアンらしくていい環境だ。

何を隠そう、割と最近まで私はベトナムというか、クセの強いアジアン料理が苦手だった。それが色々な店でチャレンジしていくうちに「おや、これはおいしいな」や「パクチーって旨いかも……」などと、どんどん魅了されていったのだ。それを確固たる大好物にさせてくれた店がこのサイゴンである。

まずは『パクチー餃子』からキックオフ! 昔はパクチーなんてもっての外だったが、餃子に乗せて特製〝ヌクチャム〟というタレをたっぷり付けて食べてみるとアラ不思議。餃子のガツンとした味に、フレッシュなパクチーが絡み、それをヌクチャムが程よくまとめ上げるという美味しいコンビネーション。サッカーでいうところの〝ドリブル&ワンツーシュート〟だ。

続いて『バインセオ』は、間違いなく日本人好みの料理だ。豚肉や玉ねぎを炒めたものを薄い玉子焼きで包んだ、ベトナム風お好み焼きだ。これをひと口大に切り取り、サニーレタスで包みヌクチャムを付けて口の中へシュート。玉ねぎと玉子の甘さが、こちらもヌクチャムに合って旨い。キャプテン翼でいうところの、翼くんと岬くんのツインシュートでキーパーなすすべ無し!な完璧なゴールである。

いよいよロスタイム突入、シメの『トムヤムスープビーフン』の時間だ。酸っぱくて少しピリ辛で、クセの少ない日本人好みのスープに、白くて細くてツルツルのビーフン。エビ、トマト、水菜などの具沢山に追いパクチー山盛りにして一気にすすり上げる。「ピピーッ!」これはレッドカード級のファール的おいしさだ。
素晴らしい戦いだった、ベトナム代表。残念ながらサッカーの方で出場はないものの、グルメ・ワールドカップでは間違いなく上位入賞である。

それはそうと、私はまずサッカーのルールから勉強だ。えーっと、オフサイド?ってなんだっけ……というか、そもそも何人でやるんだっけ? まぁ、キャプテン翼の漫画とゲームしかやったことがないからなぁ……よく分からないので、次の韓国代表の店に行ってから勉強することにしよう。


取材・文・撮影=味論(酒場ナビ)