私としては、日ごろから悪玉コレステロールと戦わなければならない身の上のため、
「揚げ物。これは困ったな・・・」と思いながら、すでにお店の扉に手をかけていました。
「いらっしゃいませ」
お店のご主人の軽やかな声。中を見渡すと、スッキリと清潔で明るい雰囲気の店内。
カウンターに案内されて、メニューに目を通してみると、全体的にランチメニューがリーズナブル。
ヒレカツ定食950円が気になってしまい、これは実食しなければなりません。
こちらのお店は基本のライスが大盛サイズのため、ライスの量は少なめにするか確認があった後、お新香としじみ汁のセットメニューが提供されました。
そしてメインのヒレカツは、カラリと揚がって油臭さやクセもなし。
一口かじると衣がサクッと軽やか。お肉はやわらかな食感。
肉の旨味が口いっぱいに広がります。
揚げたてのヒレカツのおいしさはもちろんですが、サイドメニューのしじみ汁も体に沁みる味。
貝の出汁がしっかり出ていて、ほっと心が和みます。
ご飯からお新香まできれいに完食した頃は、お疲れ気味だった両足がすっかりと元気な状態に。
気分よくお店を出た後は、商店街を河田町方面にまっすぐ進んでいきました。
途中の脇道に突如現る急勾配の長い階段、「念仏坂」。
標識には念仏坂の由来が表記されています。
一説には、昔老僧がこの坂の下で昼夜を問わず念仏を説いていたとか。
また、屈曲して危険な坂だったので念仏を唱えて往来していた人がいたとのこと。
なるほど、確かに上部が曲がって急斜面な坂にズラッと階段が続いて、一気に登るには辛そうな雰囲気。
だけどこの曲がり具合が絵になるので、この先はどこへつながっているのか気になる坂。
ちょっとした冒険心でこの念仏坂を登ってみることにしました。
夏本番の昼下がり、直射日光は容赦なく照りつけます。
昔の人は危険な坂道を念仏を唱えて登った坂。
私も空腹状態で登っていたなら、途中で念仏を唱えていたに違いない。
坂道の頂上へ到達した時、登りきった達成感の明るい気持ちで振り返ると、美しい湾曲した坂が眼下に広がります。
頭上にはすっきりした青い空。
「あー。ヒレカツでパワーチャージしておいてよかったー!」という思いが広がり、ヒレカツパワーの凄さを実感した午後でした。