谷中の「喫茶ニカイ」でメロンクリームソーダ。
「1階づくりはまちづくり」を体現する「喫茶ランドリー」から2階という名の喫茶に向かう安易な思いつきの遠足の日。
ある日見たwebの中の透明感に満ちる青の写真に惹かれた「喫茶ニカイ」。
日暮里駅から御殿坂を登り、朝倉彫塑館のある路地を谷中霊園に添うように進み、大きい道路にぶつかり右に曲がりすこし。
年季が染み出る3軒続きの住居付きの長屋の真ん中に青と白の階段を模したあの看板を見つける。
がらりと扉を開けてこんにちはとお店に入ると「ご予約は」と尋ねられる。「いえ」と答えると、「ただいま満席で3、40分くらいお待ちになりますが待たれますか」と。
「待ちます」と答えると「こちらにお名前と連絡先を」と渡される紙片。名前と携帯の番号を記入して手渡すと「席がご用意できましたらご連絡いたします」と見送られ、まちに戻る。
さてどうしようかと潰す時間。谷中霊園にでも行ってみるかとぶらぶらと歩いていると10分ほどで震える携帯。
「お席が空きましたがどうされます」と連絡を受け、「伺います」と答えて来た道を戻る。
もう一度扉を開け「連絡を受けましたほにゃららです」と伝えると2階へどうぞと案内される。道しるべのようにあちこちにお店のロゴ。
狭い階段を昇り上がる2階。奥に広がる青でまとまるレトロとポップが入り交じるシックで古き良きを醸す茶店。あちらにと案内される窓際のひとり席。
昔ながらのすりガラスを通し和らぎ差し込むやわらかな真夏の日差しがなんかいい。
眺めるメニューに「喫茶ニカイ」と言えばと踊る「ニカイのクリームソーダ」。淡いブルーのラムネソーダとヨーグルトアイスのクリームソーダ。
でもメロンのクリームソーダの気分の日。オーダーする店員さんに「ニカイ」でなく「メロンの」と二回聞き直され、はいそれでとお願いする。
松田聖子の流れる店内。よく見るとくるくると回るLPレコード。
その途中、ブツと音が途切れ照明が消える。ブレーカーが落ちたよう、いつものことと慌てない店員さん。階段を下に降り静かに上がるブレーカー。
再び回り出す松田聖子。流れる青い珊瑚礁。小声で口ずさみ少しのる。
そんな頃に届くそれ。艶やかなグリーンのメロンのソーダ水に零れ落ちそうなまんまるのバニラアイスとさくらんぼの王道な出で立ち。
完璧なプロポーション。これこれこれと求めたもの。
細長い柄のスプーンですくうバニラアイスはねっとり濃厚なバニラ。うん、おいしい。溶けて垂れないようにとしばらくアイスをすくい舐める。
ストローで吸うメロンのソーダ水。喉を駆けるシュワシュワと弾ける甘い炭酸。
思い浮かぶあの頃の景色。
頃合いで頬張るさくらんぼがとても果肉が肉厚のさくらんぼで不意打ちのしあわせ。
チューと啜り、舐めるバニラ。きちんとおいしいしわせな時間。氷の隙間の最後のグリーンを啜り切り、スプーンに残るバニラの余韻をペロとして満足に浸る。
会計をし降りる1階は器を扱う『kokonn』というお店。カラフルやシックな器たち。この器でカレーを食べたいやスープを飲みたいと思う器が所狭しと並んでいる。
こんどかみさんともう一度。
ごちそうさまでした。