「中田ベーカリー」が西東京市にやって来た。
国分寺で友人が主催するイベントになんどか共に出店するパン屋さん。息子ちゃんに駄菓子を買ってもらい、お母さんの作るパンを楽しむあの日。
いつかは武蔵境や吉祥寺の実店舗へと思いながらも過ぎた日々。そんな中田さんの「中田ベーカリー」が西東京市にやって来るとSNSで知る。
田無駅から武蔵境駅に向かう武蔵境通りの柳橋の交差点のすこし田無寄りに出来た空き家を改装したシェアキッチン「NEIGHBORS西東京」で木金土に出店される。
行こう行こう行こうと思いを巡らし今日。お外は36度の猛暑日。いったん自転車を漕ぎだすも躊躇しかない照りつける太陽。
自転車道路に出てしまえば木陰の中をスイスイだと覚悟を決めペダルを漕ぐ。進むと思いのほかスイスイと吹く風も気持ちが良いサイクリング。
お風呂の王様あたりで給水し、馬の背を下り上り、15分ほどで到着する。
いつもの手描きの食パンに顔が目印の看板に安堵して、吹き出す汗をぬぐい、息を整え、こんにちは。
高めのカウンターにパンが並び、その奥の厨房に中田さん。少しマスクを下げてご無沙汰ですと声をかける。
がしがしとパンを焼き上げるオーブンの熱が籠る店内。積み上がる小麦の袋に気持ちが上がる。
2階にあるイートインで国分寺の「クライブ」のアイスコーヒーを飲みながら少し休む予定も話を聞くとこの季節2階はだめらしい。
吹抜けを見上げると剥き出しの屋根の下地。たしかにこれは熱いだろうなーと2階に上がらせてもらうと籠る熱波。
すごすごと階段を下り一番エアコンの冷気が当たる場所に陣を取りトレイとトングを手に取り眺めるパン。
お目当ての人気No1と謳う「シナモンロール」をまずトレイに載せ、季節限定の言葉に惹かれる自家製の梅ジャムあんぱんをトングで摘む。
その横に並ぶ「レモンのあんぱん」が「私は...」という目で見つめるので一緒にトレイに運び、焼き立てと厨房から運ばれるチーズとベーコンとほにゃららの総菜系のパンを息子の夜食にと摘みお会計をお願いする。
一つずつ丁寧に包装してもらいお会計。また涼しくなった頃に2階でお茶と約束し、ベーグルやマフィンやあれやこれに後ろ髪を引かれつつ店を出る。
お家に帰り、エアコンで熱を取り、とりあえずビール。息子も妻も苦手なシナモンを一人でやっつける一人の午後。いただきますとかぶり付く。
むっちりふわのやわらかな生地に覆いかぶさる白いパリパリの甘いとこ。広がる甘み。ムシャと食べ進むと渦巻く生地に埋まるたっぷりのシナモンが効くレーズン。
ああ、これ、めちゃおいしい、すぐに食べてしまうのがもったいなく、これでもかとちびちびとレーズンにシナモンのカスタードに生地を噛み締め味わい余韻に浸る。
べたべたと指に絡みつく甘みも気持ちの良い昼下がり。とりあえずここでとどめ、みんなの帰りを待つそわそわとした時間。
帰宅した妻におやつがあるよと晩飯前に頬張るあんぱん。むっちりな小麦に包まれる甘さ控えめなほのかな梅ジャムがからむどっしりあんことレモンレモンの爽やかな酸味溢れる白あんのようなあんこ。おいしい。
お祭りで遅いという息子には内緒でもう一つの総菜系にも伸びる手。しっとりむぎゅの小麦に詰まるぴりりと薫る粒胡椒が良いアクセントのベーコンととろけるチーズのハーモニー。
どれもこれもとてもイカす包容力のある小麦とこれでもかと詰まる暴れる具。またすぐ買いに行きたいな衝動に駆られるパン。
しあわせだの満足に浸る。