こちらは着彩前の作品です。すでに撫でたくなるフォルムをしています。

はしもとみおさんの著書『はじめての木彫りどうぶつ手習い帖』によると、まずやることはモデルになる動物のスケッチ。表情などをよく観察して、作りたいポーズが決まったら、その子が埋まっていそうな木を選びます。そして、その子がそれ以上彫ったら痛い!と言いそうなところまで彫り進めます。
木彫りについて、特に印象に残っている言葉がこちら。

"命を吹き込むのではなく、命は、木の中にもうすでに埋まっていて、わくわくと掘り出されるのを待っているのです。"

素敵な表現です。

そうやって彫り出された子がこちら。はしもとさんの愛犬、月くんです。潤んだ瞳に撫でてくれと言わんばかりにさがった耳。キュンとする瞬間を形にした作品です。

通常、美術館の作品が触れることは少ないですが、ここでは肉球マークのついた作品は触ってOK。そっとなでなでしました。

アトリエ風の展示エリアには、たくさんの動物のスケッチや、はしもとさんの言葉が描かれた小さなメモが。その中から1つご紹介。

"この世界はいつでもごきげんでいるための修行の場である"

思い通りにいかない状況でも、いかにポジティブに切り替えて行動できるか。受け身にならずに、自分をごきげんにする意識って大事ですよね。

横断歩道とバス停のある猫町エリアでは、猫と犬が思い思いに過ごしています。

他にはオランウータンや熊の親子などがいる森の生き物エリア、ラッコやジュゴンがいる海の生き物エリア、世界で初めて地球の周りを周った犬のライカがいる宇宙エリアなど(勝手に命名)があり、結構な数の動物たちに出会えます。

お土産にはシールとポストカードを。展覧会とは関係ないですが、角度によって猫のポーズが変わる栞と、くまグミの形のペンシャープナーも買ってしまいました。意図せず動物づくし。

涼しい美術館で動物たちと思う存分触れ合れあって、土砂降りの雨の中でもごきげんで帰路につきました。