二子玉川駅から渋谷方面へ国道246号を進み、銀行の脇の路地に入ります。その名のとおりハナミズキが街路樹としてずらりと植栽されていました。一方通行の細い車道に並行して幅広い歩道が敷かれており、ここが砧線の線路跡です。素朴なタイル敷きの歩道には旧世田谷線(玉電)のかつてあった駅の跡を示すモニュメントのプレートが埋め込まれています。
街路樹だけでなく道の傍らにも多くの植物が植えられ、花が咲きまた垣根なども設けられているので、気持ちのよい道が続きます。やがて歩道は15分ほどで都道11号に合流。花みず木通り自体はここで終了ですが、この後は砧線跡を終点までたどってみたいと思います。
東急玉川線は明治末に開業し、当初は多摩川から採取される砂利を建設資材として東京都心に運搬することがおもな目的であったようです。その後、沿線が住宅地として開発されていくと地域住民が都心部へ通じるための交通手段として目的を変えていきます。地元からは「玉川電車」(略称”玉電”)と呼ばれて親しまれていました。
渋谷から二子玉川までの主要路線は路面電車でしたが、高度経済成長に伴う自動車交通量の激増に伴い1969年(昭和44年)に廃止。三軒茶屋から下高井戸まで分岐していた支線は専用軌道が多かったため東急世田谷線として現在も続き、二両編成の運行車両はいまなお路面電車の面影を残しています。また渋谷から二子玉川までの路線はその後の1977年(昭和52年)に新玉川線(現「田園都市線」)として地下鉄化され生まれ変わりました。
野川を渡り道なりに進んでいくと、道路わきの住宅地の奥に土手が見えるのですこし道を外れて土手に上がってみました。多摩川の広い河川敷が見えます。視界が大きく広がり空も広い。その先には多摩川が悠々と流れています。道に戻り右手の東京都市大学総合グランドを通過して水道局の浄水場の前を越えて鎌田二丁目南公園までやってくるとそこに隣接して小さなバスターミナルがあります。ここが砧本村バス停であり、かつての砧線の終着駅でした。
二子玉川駅から砧本村バス停まではおよそ2km弱、30分程度のお散歩コースです。いったん二子玉川駅から路線バスに乗り砧本村バス停まで行きそこからスタートして二子玉川駅へ歩いて戻ってみるのもいいかもしれません。散歩のあとに玉川高島屋や二子玉川ライズなどの複合商業施設で買い物やお食事そして映画鑑賞さらに多摩川河川敷でのピクニックまで1日中たのしむことができます。
●花みず木通り
東京都世田谷区玉川3丁目から4丁目