『ボンボン』さんのサバラン(360円)
※価格は、2025年02月時点のものです。

 バター香るブリオッシュを、芳醇なラム酒シロップに浸したケーキ、サバランーー。
 
 サバランが誕生したのは、フランスの北東部ロレーヌ地方。18世紀、同地方を治めていた、スタニスラス・レクチンスキー公は、「美食王」として知られ、マドレーヌなど、数多くのお菓子の誕生に関わった人物でした。

 そんな彼が、発酵生地のお菓子"クグロフ"を洋酒に浸して食べたことが、サバランの始まりと言われています。彼の愛読書『アリババと七人の盗賊』から名前を取って、当初、このお菓子は「アリババ」と名付けられ、のちに「ババ」に。お菓子がフランス各地へ広がると、「サバラン」とも言われるようになり、さらに、イタリアに伝わったものは、「ナポリターナ・ババ」と言われました。

 そして、明治時代ーー。日本にフランス菓子が伝来すると、サバランはさらに進化します。フランス流のクグロフやブリオッシュを使ったものに加えて、"菓子パン"や、"カステラ"などを洋酒シロップに浸した、日本流のサバランが誕生したんです。(一説では、明治〜戦後まもなくの日本は、砂糖やバターが簡単に手に入らず、ブリオッシュをきれいに作れなかったそう。そこで、手に入りやすいもので作った菓子パンで代用したとか)

 前置きが長くなりましたが、そんなこんなで、日本には、ブリオッシュというよりも、懐かしい菓子パンのような生地を使ったサバランを出すお店が今も点在しています。

 名古屋にある『ボンボン』さんも、そのひとつ。売られているサバランは、巨大な生地に、ラム酒シロップをたっぷり染みこませて、そこにジャムとクリームをのせた一品です。甘酸っぱいジャムの奥に、上品な洋酒香を感じる"大人のおやつ"でした。

 名古屋といえば、喫茶モーニングの小倉トーストが有名ですが、歴史あるサバランも合わせて、ぜひ!