＜散歩コース＞
玉川上水の下流域部分となる高井戸公園から四谷大木戸門までの暗渠となっている区間を歩いてみました。緑道となっていたり一部は水の流れが再現されていたりと街中で緑や花と様々な風景を楽しめるお散歩にぴったりのコースだと思われます。
　
■「富士見ヶ丘」駅から甲州街道合流地点（緑道始点）まで
京王井の頭線「富士見ヶ丘」駅からスタートです。駅南口に出て目の前を通る富士見ヶ丘通りを南へ進みます。すぐに神田川を渡り、緩やかな上り坂を上がっていくと高井戸公園のすぐ脇、中央自動車道の高架との交差点に出ます。交差点から高架に沿って東へ新宿方面に向かいます。

西の上流方面はまだ開渠となっており多摩川上水のかつての様子を感じられる緑濃いリバーサイドの遊歩道となっています。上流側は各種レジャースポット満載の井の頭公園にも繋がっておりますので歩いてみていただければ暗渠散歩とは別に楽しめるお散歩になると思います。

話を戻して東へ進みます。やけに幅の広い歩道が玉川上水の上であることを窺わせます。環状8号線を越えてさらに東へ進むと甲州街道（国道20号線）との合流点です。ここから甲州街道の左手に緑道が分岐しています。緑道は玉川上水の上に整備された歩行者道となり、ところどころに遊具なども設置され、子ども連れの家族が遊んでいました。

■甲州街道合流地点（緑道始点）から和田堀給水所近辺まで
緑道の両側には樹木や草花が植栽されており、夏の日差しでも日陰が多く過ごしやすい散歩道です。自動車はもちろん自転車も進入しにくい構造のため安心してゆっくりと歩くことができます。いくつものかつての橋の欄干や名が刻まれた親柱を通り過ぎていきます。

玉川上水は北に神田川、南に甲州街道に挟まれた間をおおむ通っています。北側の神田川よりは高い位置にあり、そのため玉川上水の北側は下り斜面となり高低感がよく分かります。一方、南側の甲州街道とはほぼ等高に並行するような地理関係となっています。これは甲州街道沿いの微高地となっているわずかな稜線を流路に選択した結果でしょうか。

やがて緑道は明治大学の和泉キャンパスの前を通過しさらに井の頭線と交差。谷間に走る井の頭線の線路の上を通る巨大な導管が上水を向こう側へ運んでいます。その先で和田堀給水所に近接した巨大な貯水タンクに行き当たります。右手の甲州街道と合流してあらためて東へ進みます。

明治以降、玉川上水も近代化されてここでより協力に市中へ給水できるように調整されて西新宿の淀橋浄水場へ送水されることになりました。その道は現在は水道道路（都道431号線）となっています。しかし淀橋浄水場も戦後に役目を終えていまは西新宿の高層ビル群や東京都庁そして新宿中央公園となりました。

■和田堀給水所近辺から京王線「笹塚」駅まで
江戸時代の上水の流路は和田堀給水所のすこし先で甲州街道から南側へ分岐し、京王線「代田橋」駅の下を潜り込むように通り抜けます。代田橋駅の下に川（玉川上水）が流れていることをお気づきの方も多いのではないでしょうか。井の頭線との交差地点も同様にこのような昔と今が交錯するようなポイントはその時間の隔絶と同居を二重に受け止めることができて個人的には面白く感じます。

代田橋駅あたりから先は玉川上水の様子が当時の面影を残すように水の流れが再現されています。さらに突き当たる環状7号線の交差部分では地下道を使い向かい側に渡ります。その先で緑道は京王線「笹塚」駅の前に繋がります。笹塚駅前でいったんお昼ごはん休憩です。

笹塚駅高架下のショッピングモール街にあるインドカレーの「ジャイヒンド 笹塚店」さんで”チーズナンセット”をいただきました。チーズナンとバターチキンマサラとのセットです。マサラはスパイスをよく感じつつも辛すぎない日本人向けのマイルドな味わい。なかに蕩けたチーズが満載のチーズナンはなかなかのボリューム感です。とても美味でマサラなしの単体でも十分満足できるほど。ごちそうさまでした。

徳川家康が江戸を本格的に都市開発し始めた頃、東側は現在の東京湾の入り江を干拓した土地であり、井戸を掘っても良質の水は得られませんでした。また西側の自然の河川や湖沼などからの水源も十分ではなく、徳川家という最高権力者の城下町として大きく発展するには限界があったようです。そのため多摩川から大規模な人工的水路を開削して江戸市中に大量の水を引き込みました。こうして江戸の人口は100万を超えたともいわれ、当時のロンドンやパリをも上回る世界最大級の都市に発展したともされています。

満腹になりエネルギーチャージを完了して後半戦へ歩き出します！
【後編】は笹塚駅から再出発して甲州街道を横目に新宿を経て終点の四谷に向かいます。
よかったら【後編】の別投稿をご覧になっていただければ幸いです。
　
＜行程表＞
※標準的タイムによる目安（休憩含まず）
井の頭線「富士見ヶ丘」駅→　都立高井戸公園（10分）→　甲州街道合流地点・緑道始点（30分）→　東京都水道局貯水タンク（50分）→　笹塚駅（25分）
コースタイム/　2時間程度
歩行距離/　おおよそ7km

＜アクセス＞
●往路
京王井の頭線「富士見ヶ丘」駅から徒歩
●帰路
京王線「笹塚」駅まで徒歩
※途中で京王線「下高井戸」駅や「明大前」駅などに徒歩でアクセスできます。

＜関連情報＞
●ジャイヒンド・笹塚店
インドカレー
東京都渋谷区笹塚1-56-6 クレセントプラザ笹塚　２Ｆ

（2024/10/07　上町嵩広）