現代に生きる人の心を打つクラシカルな外観、内観
上野公園の端に佇む、「旧東京音楽学校奏楽堂」。
こじんまりとしていながら見る人の目を惹くノスタルジックな外観は、何の建物だろうと思わず近づいてしまう不思議な力があります。
入館料300円を払って入れば、中には赤いカーペットが敷き詰められ、温かみのあるシャンデリアの光が館内を優しく照らしています。踏みしめる床はほのかにギシッと音を立てました。
館内展示によると、国の重要文化財であって「生きた文化財」と呼ばれているそうです。歴史的な建物を維持管理するだけではなく、音楽ホールとして今も現役で使われているから、とのこと。
パイプオルガンを美しく響かせる音楽ホール
日本最古の洋式音楽ホールであるだけでなく、日本最古のパイプオルガンも有する奏楽堂。定期的に東京藝術大学の学生によるコンサートが開かれています。私が行った日は、たまたまパイプオルガンの日曜コンサートの日でした!
ぎゅっと音の要素を凝集したような、パイプオルガンの美しい音色を閉じ込めたような、音が心地よく響くホールで聴く演奏は心に沁み入るものがあります。防音のためにホールの壁の中に藁が詰めてある点など、今とは違う方法で作られているからでしょうか。
子どもも入れますが(未就学児を除く)ほとんど子どもの姿はなく、大人が静かに音楽に酔いしれる場所のようです。
日常に潜むセレンディピティに出会う散歩術
ここを散歩してみようと目的地を定めたら、まずその周辺から攻めるのが私の散歩術。思ってもみなかったものに出会えることがままあるのです。
上野公園周辺を散歩して見つけた「旧東京音楽学校奏楽堂」は、周辺のにぎやかさとは少し性質を異とし、不思議な存在感を持つスポットでした。
教科書で習った音楽界の偉人が踏んだ場所を、今を生きる自分も踏んでいるのって遠いのに近づいたような気がするんですよね。歴女や聖地巡礼にも相通ずるものがあるのでしょう。