1938年(昭和13年)に創業され、町の憩いの場として、また、この界隈に住む多くの文人や芸術家たちの、談義の場としても長年親しまれ、その歴史は建物や玄関からも、趣を感じさせる。

店内に入ると、現代的なリノベーションとおしゃれなインテリア、行き届いたクレンリネスによる清々しい空間、そしてスタッフの方々の、穏やかで優しいご案内とともに、素敵なティータイムがスタートする。

お店の人気メニューは、「たまごサンド」(\1,000-)。パンは、長時間の低温発酵によって引き出された、酸味と甘みが特徴のサワードウを使用。ふんわりと焼き立ての卵焼きに、マヨネーズソースがアクセントになった美味しさは、何個でも食べたくなるほどの味わい。日替わりの、浅めでさわやかな酸味のコーヒー(Hot \500-)とも相性は抜群で、朝昼夕を通じておすすめの組み合わせ。

名物のメニュー「ルシアン」(\600-)は、創業者である榧場伊之助(かやばいのすけ)様が考案され、チョコレートシロップをドリップしたコーヒーと合わせ、ホットミルクでブレンドしたもの。エスプレッソマシンでスチームされた、きめ細かなフォームのホットミルクに、ココアの優しい甘さと、コーヒーの穏やかなコクがバランスよく合わさって、初めて味わう新しさと美味しさを感じる。
また、スイーツの「あんみつ」(\800-)は、同じ谷中で古くから蒟蒻や白滝などを販売する、三陽食品製の寒天を使用。バニラアイス、つぶあん、求肥、チェリーをのせた贅沢な味わいとともに、寒天の心地よい歯ごたえと風味を楽しめる。

100年以上佇む町家の『カヤバ珈琲』は、創業当時からの趣と伝統を受け継ぎながら、現代的なカウンターキッチンやエスプレッソマシン、写真映えのする食器や料理の盛り付け、お客様へのおもてなしなど、全世代に共感される演出と工夫がしっかりと調和して、「温故知新」そのことわざ通りの喫茶店。谷中の町だけでなく日本のシンボルとして、世界と時代を超えて愛され続けてほしいと願いながら、また美味しくゆったりとした時間を過ごしに行きたい。