今回のゴー!ゴー!
『オギノ 貢川店』(山梨県甲府市)
訪れた山梨県甲府市の『オギノ 貢川店』。同じ敷地内には、本部のほか「衣料館」も立っています。
『オギノ』は天保12年(1841)、荻野市左衛門(いちざえもん)が綿糸問屋で創業し、戦後には洋装生地専門店となった歴史をもつスーパー。地元にとっては、衣料の『オギノ』でもあるのです。
『オギノ』訪問で、最初にチェックすべきは「かいじ寿司」。普通の握りと半々ぐらいの割合で寿司売り場に並んでいるので、市民の好みも半々なのでしょう。
いったい、そのかいじ寿司とは何かといえば、「寿司ネタに甘いタレをたっぷり塗った」ものなんです。味を想像できないかもしれませんが、食べれば納得。甘辛のタレと酢飯との調和、そして甘辛のタレで引き立つ魚介の旨味。不思議と違和感なく、とてもおいしく感じます。
海への憧れが強く、日本有数のマグロの水揚げ港・焼津へもわりと近い甲府は、マグロの消費量も寿司店の数も多いといわれています。
むかしは運ばれてくる間に、マグロが黒く変色し新鮮さも失われたと想像できますが、それでも「なんとかおいしく食べたい」と、考え出された先人の知恵が、このつややかな甘いタレなのです。
市内の寿司店の一部でも、アナゴの握りに使う「ツメ」のような甘いタレを、マグロやほかのネタにもたっぷりと塗って提供する文化が残っています。
寿司からもわかるよう、『オギノ』は地元の味を大事にしてきました。その思いは、自社オリジナル商品を地元企業などコラボすることからも、強く感じられます。
なかでも、郷土食「あわびの煮貝」の老舗「かいや」が『オギノ』グループに加わったことで、『オギノ』オリジナル「贅沢な鮑だしめんつゆ」など、貝出汁を生かした絶品が誕生。新しい地元食を次々と生み出しています。
それらオリジナル商品にデザインされた模様の中に、実は一つだけ『オギノ』の「オ」のマークが隠されています。見つけると幸せな気分になる、楽しい仕掛けです。
『オギノ』開発! オリジナル商品
『オギノ』のPB(プライベートブランド)のなかでも、品質とおいしさにこだわった商品につけられるゴールドのマーク「オギノ セレクト プレミアム」。注目の味がそろいます。
地元の名物、定番のご当地食
観光地やリゾート、またビジネスの拠点としても、さまざまな県から人を迎える山梨。むかしから伝わるローカル色の強いご当地の味でも。
「あわびの煮貝」に注目!
これが「かいや」の「あわびの煮貝」。とても高価で贈答利用がほとんどですが、旨味が多く美味。名物になった理由は武田信玄がその栄養価に注目し、陣中食として考案したという説もあり。ちょっと陣中旗チックな売り場の幟が目印です。
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2025年11月号より







