なぜ、夏に食べるの?

お店の人いわく「赤いイガイガ(=米粒)で暑い夏を吹き飛ばそう!」なのだとか。つまり暑気払い?

「赤色」や赤い「小豆(あずき)」は古来、疫病などの魔除けにも用いられていたので、夏バテを含む、無病息災の願いが込められているのかも。赤は強い!

食感はもっちりつるりんで、こしあん入り。三条市のいが餅の米粒は赤色のみ。

三条市出身の友人が知らなかった「いが餅」。もしや知る人ぞ知る一品なのかも?
三条市出身の友人が知らなかった「いが餅」。もしや知る人ぞ知る一品なのかも?

“いが”の語源いろいろ

ところで……いが餅やいがまんじゅうの“いが”って、なんなのか微妙に気になるところ。語源には諸説あるもよう……。

①餅の表面に付いている米粒が栗のイガに似ているから説。全国的にもこの由来説が多いかも。

②徳川家康の出身地、愛知県三河地方の場合は、家康の大ピンチを救った「伊賀越え」の「伊賀」からきている説。

③表面の米粒を黄色く染めて使う地域は、その粒を稲の花「稲花(とうか)」に見たて、「稲花」を「いが」と読ませて豊作を祈る説。

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全国あちこち、いが餅のなかまたち

【いがまんじゅう】 愛知県三河地方
ひなまつりの食。こしあんに米粒は3色で、赤は桃の花、緑は新芽、黄は菜の花をそれぞれ表しているそう。

【りんまん】 愛媛県松山市
月遅れのひなまつりの食。こしあんに米粒は2色で魚のウロコに見たて、名前を音読みの「りん」にあてているとか。

【いがまんじゅう】 兵庫県三木市
その昔は田植えの時のおやつだったそう。その名残か、今も販売される時期は6月。

【いがまんじゅう】 滋賀県甲賀(こうか)市
春と秋のお彼岸の時に食べるもの。こしあんで米粒は3色。黄ではなく白が入るのは、供養の意味……かな?

【いがまんじゅう】 埼玉県鴻巣(こうのす)市はじめ、その周辺エリア
中に小麦粉で作ったこしあんのまんじゅう入り。夏祭りや冠婚葬祭で食す。赤飯に白ゴマ、にぎりこぶし大とでかい!!

取材・文・イラスト・写真=松鳥むう