めまきの“め”って何?
「め“まき”」というから、何かを巻くんだろうと想像がつくけれど、一文字目の「め」ってなんだ!?
答えは海藻の「アラ“メ”」のこと。水深5~10mのところで生育し、長さは20㎝~1mほど。めまきひとつにつき、アラメ1~2枚をまるごと使います。
アラメは伊勢神宮では昔から神饌(しんせん)のひとつでもあります。また京都でも、その昔はヒジキよりアラメが食卓にのぼることが多かったとか(京都育ちの年配の友人談)。
三角姿には理由がある
5~6㎝四方のサバの切り身をアラメで三角に巻くのは意外と大変!!
でも、三角であることが大事だったりします。それは……富士山の形を模しているという説と、稚児の舞を舞うお稚児さんが座っている姿だという説があります。
どちらにせよ、河口浅間神社の祭りで作られる意味のある形なのです。
アラメで巻く魚はサバやマグロなど、家庭によってさまざま。途切れ途切れではあるけれど4日間、火を入れることでやっと完成します。
さてお味は? ほどよい甘辛さがアラメとサバに染みて、ご飯のおともにも酒の肴にも最高!!
海なし県なのに、なんで海の幸料理?
交通手段が徒歩と馬くらいしかなかった時代、静岡県中南部の海辺の地域・相良(さがら)の人たちが乾燥させたアラメを持って、山梨で行商していたそう。
相良近辺でも、春の日常の郷土料理として“め巻き”があります。でも相良あたりでは、アラメはもう採れなくなって、三重県産のものを購入しているそうです。
静岡のめ巻きは……
山梨より醬油味が濃いめ。筒状なので、火がすぐに通ります。中の魚はカツオ。
本来サバではなくウグイだった
中に包む魚は、流通が発達する前は近くで獲れる淡水魚のウグイだったとか!
春は繁殖時期で赤と黒の“婚姻色”になります。
取材・文・イラスト・写真=松鳥むう