日本一の山を望む極上の展望『ほったらかし温泉』(山梨市)
まるで富士山と目が合うかのよう。東京スカイツリーより高い、標高約700mにある露天風呂からは広大な甲府盆地、御坂(みさか)山塊から頭を出す霊峰を一望できた。
「こまやかなサービスや至れり尽くせりの施設はなく“ほったらかし”かもしれないけれど、とにかくこの絶景を楽しんでほしいんです」とスタッフの窪田清さん。場所が場所だけに、秋冬は風が吹くと湯温のキープが大変だが、この風景を損なわないよう風よけなどは設けていないそう。
「これからの時期は、日の出もきれいですよ。雲海に浮かぶ富士山は、何度見ても感動します」
肌がすべすべになるやわらかな湯に浸かりながら、ドラマチックな朝焼けを眺めてみたい。
『ほったらかし温泉』詳細
夜景100選に認定された美観にうっとり『みはらしの丘 みたまの湯』(市川三郷町)
盆地の南端、標高370mの高台に立地。そのため左に北岳をはじめ、南アルプスの山々、真正面にノコギリのような稜線の八ヶ岳、右には金峰山(きんぷさん)までを見渡せる。
東京都町田市から来た男性は「眺め、最高~!」と露天風呂の最前列にへばりつきっぱなし。
係長の尾崎源宏(もとひろ)さんによると、「当館は温泉施設として全国で初めて夜景100選、日本夜景遺産の両方になりました。お湯に浸かりながら甲府盆地の夜景もお楽しみください」。夕焼けから刻一刻と空が濃紺に変わっていく日の入り前後の時間も素晴らしいが、夜の帳(とばり)が下りきった時間帯もおすすめ。
「甲府市街のキラキラ感がより増します。都会とはまた違う、山並みを借景にした夜景は趣がありますよ」
『みはらしの丘 みたまの湯』詳細
取材・文・撮影=鈴木健太
『旅の手帖』2024年12月号より