日本一の山を望む極上の展望『ほったらかし温泉』(山梨市)

浴場が二段になっている「あっちの湯」。壮大な展望に長湯必至?
浴場が二段になっている「あっちの湯」。壮大な展望に長湯必至?

まるで富士山と目が合うかのよう。東京スカイツリーより高い、標高約700mにある露天風呂からは広大な甲府盆地、御坂(みさか)山塊から頭を出す霊峰を一望できた。

「こまやかなサービスや至れり尽くせりの施設はなく“ほったらかし”かもしれないけれど、とにかくこの絶景を楽しんでほしいんです」とスタッフの窪田清さん。場所が場所だけに、秋冬は風が吹くと湯温のキープが大変だが、この風景を損なわないよう風よけなどは設けていないそう。

「これからの時期は、日の出もきれいですよ。雲海に浮かぶ富士山は、何度見ても感動します」

肌がすべすべになるやわらかな湯に浸かりながら、ドラマチックな朝焼けを眺めてみたい。

場内にある「気まぐれ屋」の伝説のカレー合盛り1700円。ローストポークとやわらかな骨付き肉が大ボリューム。
場内にある「気まぐれ屋」の伝説のカレー合盛り1700円。ローストポークとやわらかな骨付き肉が大ボリューム。
「こっちの湯」の内湯は木造で落ち着いた雰囲気。
「こっちの湯」の内湯は木造で落ち着いた雰囲気。
「建物や看板はわれわれのセルフビルドです」と、スタッフの窪田さん。
「建物や看板はわれわれのセルフビルドです」と、スタッフの窪田さん。

『ほったらかし温泉』詳細

住所:山梨県山梨市矢坪1669-18 /営業時間:日の出1時間前~22:00(月ごとに変動)/定休日:無/アクセス:JR中央本線山梨市駅から車11分

夜景100選に認定された美観にうっとり『みはらしの丘 みたまの湯』(市川三郷町)

露天風呂を二つ備える「藤の湯」(写真)と「牡丹の湯」は、男女が日替わり。
露天風呂を二つ備える「藤の湯」(写真)と「牡丹の湯」は、男女が日替わり。

盆地の南端、標高370mの高台に立地。そのため左に北岳をはじめ、南アルプスの山々、真正面にノコギリのような稜線の八ヶ岳、右には金峰山(きんぷさん)までを見渡せる。

東京都町田市から来た男性は「眺め、最高~!」と露天風呂の最前列にへばりつきっぱなし。

係長の尾崎源宏(もとひろ)さんによると、「当館は温泉施設として全国で初めて夜景100選、日本夜景遺産の両方になりました。お湯に浸かりながら甲府盆地の夜景もお楽しみください」。夕焼けから刻一刻と空が濃紺に変わっていく日の入り前後の時間も素晴らしいが、夜の帳(とばり)が下りきった時間帯もおすすめ。

「甲府市街のキラキラ感がより増します。都会とはまた違う、山並みを借景にした夜景は趣がありますよ」

サウナは約90度。窓外には絶景が。
サウナは約90度。窓外には絶景が。
駐車場北側にある農産物直売所「のっぷい」には、地元の新鮮な野菜や果実が並ぶ。晩秋から初冬は長さ1m近い大塚にんじんが登場する。
駐車場北側にある農産物直売所「のっぷい」には、地元の新鮮な野菜や果実が並ぶ。晩秋から初冬は長さ1m近い大塚にんじんが登場する。
係長の尾崎さん。「フロントでは日の入り時間も表示しています」。
係長の尾崎さん。「フロントでは日の入り時間も表示しています」。

『みはらしの丘 みたまの湯』詳細

住所:山梨県市川三郷町大塚2608/営業時間:10:00~23:00/定休日:基本無(保守点検休あり)/アクセス:JR身延線甲斐上野駅から車7分

取材・文・撮影=鈴木健太
『旅の手帖』2024年12月号より

山々で外部と隔たれた場所だからこそ、独自に進化した味がある。盆地でじっくりと個性を磨いてきた郷土食から期待の新人グルメまで、ここに集結。全体的に料理が茶色っぽい? 茶色はうまいが鉄則でしょ!