2つのカルデラ、火口丘、池、湖……変化に富む大パノラマ
火山によって形成された地形はダイナミックで、地球の活動を感じることができる。そんな景色を求めて火山の空撮に行くことも多い。
秋田駒ヶ岳の空から撮影は、モーターパラグライダーではない仕事で実際に登ったとき、その地形の美しさに感動したことがきっかけだった。
これは上空から撮りたい!と思い、下山したらすぐに離陸できる場所を探して空撮することにした。
登山の際に男岳山頂から見えた、山の麓にある牧場に行き、使用許可をもらって離陸。高度を上げながら徐々に山に近づいていく。
登山だけでも十分地球を感じることができる山なのだが、上空から見るとさらに息を呑むような景観が広がっていた。
秋田駒ヶ岳には2つのカルデラがあり、その中には男女岳、女岳、小岳、南岳などの火口丘がいくつかある。女岳火口から流出した溶岩流はまだ新しく、溶岩の形が生々しく残っており、噴火の凄まじさがリアルに感じられた。
高山植物の群生地として知られるムーミン谷や阿弥陀池、乳頭山(にゅうとうざん)への縦走路と、昨日まで登山で歩いてきた場所がすべて見渡せる。
そして北東方向には岩手山、南西方向には田沢湖が見えた。こんなにも変化に富む地形が広範囲に見渡せる場所はなかなかない。
一枚の写真にこのパノラマを収めることができないため、どの角度でどの地形を切り取るか、悩みながらシャッターを切り続けた。標高が高い山ではないのだが、一気に秋田駒ヶ岳の虜になってしまった。
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取材・文・撮影=山本直洋
『旅の手帖』2023年11月号より