黒崎煌代
くろさき こうだい/2002年、兵庫県出身。2023年、連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)で俳優デビューながら、ヒロインの弟・六郎に抜擢され、そのチャーミングなキャラクターで視聴者の心をつかむ。主な出演作に映画『さよなら ほやマン』(2023)、『見はらし世代』 『ストロベリームーン 余命半年の恋』 (ともに2025)など。今後の活躍が期待される若手実力派。
Instagram:@kodai_kurosaki
言葉よりも環境で伝える作品
映画『脛擦りの森(すねこすりのもり)』で黒崎さんが演じるのは、足に傷を負った若い男。森の中をさまよっていると、女の歌声が聞こえてきて、声がするほうへ行くと古めかしい神社に辿り着く。
そこには、謎の男(高橋一生)と若い妻のさゆり(蒼戸虹子〈あおとにこ〉)が暮らしていて——というところから始まる、なんとも不思議な話だ。
——渡辺一貴監督が、岡山県に伝わる「すねこすり」という妖怪から着想を得て、生まれた話だそうですね。
黒崎 最初、妖怪が出てくるから怖い話なのかな?と思いましたが、それだけではない“美しくも妖しい”物語でした。だけど、よくよく考えるとじわっと怖い。
セリフも少なくて、いままで見たことがないくらい台本が薄いんです(笑)。でも、打ち合わせでロケ地の写真を見せてもらったら「セリフが少なくても画がもつな」と。言葉よりも、環境で何か伝える面が多い作品なのかなと思いました。
——ロケ地がもつパワーを感じます。
黒崎 演じるうえで、事前にいろいろ考えてスマホにメモをしていましたが、それを見るのも違うなって思えるような幻想的な場所でした。最終的にはその場の雰囲気を感じて考えることが多く、貴重な経験でとても楽しかったです!
——ロケ地は岡山県の穴門山(あなとやま)神社や宇山洞(うやまどう)。どんな場所でした?
黒崎 洞窟は神秘的で、ちょうど霧がかっていたこともあり、吸い込まれそうな感じで圧倒されました。神社もどうやって建てたの?と思うような崖の上にあるんです。こんな場所があるんだ……と感じるようなところで。
日本には、まだまだ知らないところがあるんですね。そして完成映像を見ると、ロケ地で僕が目で見たままの美しさがスクリーンに! きれいな画がずっと続くんです。
——特殊メイクをした高橋一生さんや、ちょっと不思議な役柄を演じた蒼戸虹子さんとの共演は?
黒崎 高橋さんとは盤を挟んで碁を打つシーンが多かったんですけど、特殊メイクの力を超えて醸し出される妖しさというか……。高橋さん自身の魅力も伝わってきて、本当に有意義な経験でした。
虹子ちゃんは7つ下なんですけど、ずっしり堂々とされているんですよ。でも話をするなかで、やっぱり年下なんだなって思うときもあって。その二面性がさゆりの役にもぴったりでした。
登山も温泉も大好きです!
——山を歩くシーンも多いですが、山登りは好きですか?
黒崎 兵庫県三田(さんだ) 市の出身で、父と一緒に子どもの頃からいろいろな山に登っていたので山登りは好きです。小学生の頃は毎年、六甲山を縦走していました。ゴールは有馬温泉なんです。
——温泉もお好きですか?
黒崎 大好きです! 最近は愛媛の道後温泉にも。家族でよく旅行をしていたので、温泉もいろいろ行きましたし、ほとんどの都道府県に行っていると思います。
——なかでも印象的だった場所は?
黒崎 小学生の時に行った奄美大島の海がきれいで、一番心に残っているかな。黒地に白で大きく「奄美魂」と書かれたTシャツを買ってもらって、よく学校に着て行きました。カッコいいと思ったんでしょうね。いま思うと恥ずかしい……。
——いま行ってみたいところは?
黒崎 国内なら由布院温泉、海外だとロサンゼルスで大谷翔平さんを生で見たい! 前回のWBCでハマって以来のファンで、ドジャースの試合は全部チェックしています。シーズンが始まるので楽しみでたまらんです。いま(この日はWBC開幕直前)、大谷さんが日本にいると思うだけで頑張れちゃいますね。
——そんな黒崎さんの目標は?
黒崎 日本映画にできるだけ長く関わっていたいというのが大きな目標です。監督に憧れた時期もありましたが、片手間にどちらもやれる仕事ではないですし、俳優はめちゃくちゃおもしろいです!
——俳優をしていてよかったことは?
黒崎 一般的に「自分らしく」って言われるけど、よくわからないから「そんなもんねぇ、バカヤロー」 (ビートたけしさんのまねをしながら)って思います(笑)。
でも役をとおして自分を見ると、普段と違う視点から自分が見える。自分らしさってこういうところで見つけるのかな?って思えるときですかね。
4月10日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 『脛擦りの森』
森の中をさまよっていた、足をケガした若い男(黒崎煌代)は、女の歌声がするほうへ歩いて行き、古い神社に辿り着く。そこには謎の男(高橋一生)と若い妻・さゆり(蒼戸虹子)が暮らしていて、食事の世話などをしてくれた。傷の手当てを受けながら穏やかな日々を過ごすうちに、若い男はずっとここにいたいと思うようになり——。
出演:高橋一生、蒼戸虹子、黒崎煌代
監督・脚本:渡辺一貴
配給:シンカ
聞き手=岡崎彩子
『旅の手帖』2026年4月号より






