『風、薫る』で、見上さんは栃木県那須地域の元家老の家に生まれた、天真爛漫で行動力のある一ノ瀬りん、上坂さんは生後すぐに捨てられたものの教会で保護され、自分の力と運を頼りにしたたかに生きる大家直美を演じます。

看護の仕事がまだ確立されていない明治時代。2人は正規の訓練を受けた看護師、トレインド・ナースになり、切磋琢磨していきます。りんには大関和(ちか)、直美には鈴木雅(まさ)という実在するモチーフがいて、その人物像から大胆に再構成したお話です。

 

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どんな化学反応が起こるか楽しみ!

——お互いの最初の印象と、お芝居をしてみての印象の変化は?

見上 樹里ちゃんの最初の印象は透明感があってやわらかいけれど、その中にすごく強いものを感じて、直美とも重なるように思いました。その後、難しい英語のセリフと向き合う樹里ちゃんが壁を乗り越えていく姿も直美と重なって。

これからも樹里ちゃん、直美と向き合うなかで、いろいろな化学反応が起きるのが楽しみです。

上坂 初めて愛さんにお会いした時に、本当に太陽みたいな方だと思いました。いまも隣にいてくれるだけで心強いですし、困ったときにはサラリと助け船を出してくれます。

直美とりんがバディとして支え合う物語なので、これからも支え合いながら撮影できたらと思います。

——お互いの役をどのように見ていますか?

見上 最初に台本を読んだ時は、直美のことをなんてずる賢い子なんだと思いましたが、生い立ちが明らかになるにつれ、生きるためには手段を選んでいられなかったのだとわかりました。お芝居で向き合うと「素直じゃないなぁ~」とかわいくて仕方ないんです。

やさしいのに言葉選びで損をしている。たぶん素直になることで自分の心をさらけ出すことが怖いんですよね。とても強いのに、弱いところもあるのが魅力です。

上坂 りんは感受性が豊かでマイペースで、人の懐に入るやさしさをもっていて…というのが台本を読んだ感想でした。お芝居をすると、りんの表情がすごく魅力的! 顔に全部出るんです。

そういう表情をしてくれるから、受け取る側も次の言葉が出やすく、いろいろな感情が湧いてきます。

「やわらかさのなかに強さがある樹里ちゃんは直美と重なります」。
「やわらかさのなかに強さがある樹里ちゃんは直美と重なります」。

見上 愛

みかみ あい/2000年生まれ。東京都出身。2019年にデビュー。近年の主な出演作に、映画『不死身ラヴァーズ』、Netflixシリーズ『恋愛バトルロワイヤル』の主演作や、NHK大河ドラマ『光る君へ』、ドラマ『119エマージェンシーコール』、映画『国宝』、劇場アニメ『ALL YOU NEED IS KILL』などがある。
Instagram:@mikami_ai_

女性が活躍するには大きな壁が……

——女性が社会で活躍するのが難しかった明治時代。看護師を目指す2人を演じて感じたことは?

見上 当時、女性はこうであらねばという固定観念があり、生まれや育ちでいろいろなことが決まっていました。そこに時代の変化の波がきて、すぐのみ込めない人もいたでしょうし、りんや直美のように変革を求めて動いた人もいた。

女性がやりたいことを見つけて生きるには相当なパワーが必要だったはずなので、大関さんや鈴木さんをとても尊敬しています。

上坂 女性が仕事に就きたい、自立したいと思っても、思いどおりにいくことはなかなかない時代。社会の偏見などの壁は、いまの時代からは計り知れないものだったと思います。そのなかで看護の道を切り開いた、りんや直美を尊敬しますし、強さを感じました。

——りんは栃木の言葉、直美は英語を話します。それぞれどのように習得を?

見上 撮影前に先生からルールを教えていただき、練習していきました。セリフだけじゃなく、普通の会話もたくさんしました。ロケに行ったときは、生で栃木の言葉が飛び交っているので、それにもすごく助けられました。

いまはむしろ、栃木ことばを抜くほうが大変なくらい。標準語でセリフを言ったつもりが、監督に聞いたら「いや、栃木ことばでしたよ」と(笑)。

上坂 私も撮影前から英語の稽古を始めて、いまも続けていますが、口の形や発音がこんなにも日本語と違うとは。発音ができるようになっても、感情を入れるとニュアンスが違うこともあって……。

日々とっても苦労していますが、直美にとって英語は一つの武器。発音と感情のバランスを大切にしながら、頑張っていきたいです。

「愛さんは太陽みたいな方隣にいるだけで心強い!」。
「愛さんは太陽みたいな方隣にいるだけで心強い!」。

上坂樹里

こうさか じゅり/2005年、神奈川県出身。2021年からファッション雑誌『Seventeen』の専属モデルに。2023年、ドラマ『生理のおじさんとその娘』でヒロインを演じると、その後『ビリオン×スクール』や『御上先生』『いつか、無重力の宙で』などに出演。連続テレビ小説『風、薫る』ではW主演を務める。
Instagram:@juri_kosaka

栃木での撮影のあとは毎日温泉へ!

栃木県那須地域で行われた撮影では、こんなお祭りの場面も。
栃木県那須地域で行われた撮影では、こんなお祭りの場面も。

——栃木でのロケはいかがでしたか?

見上 りんたちが同じ風景を見たかもと思えるような森林があったり、田んぼがあったり。そんな景色がお芝居をするうえで助けになりました。ロケ中は日が沈むまでに撮影が終わるので、毎日温泉に行き、おいしい地元の野菜を食べていたので、心も体も健康に過ごせました!

上坂 栃木ロケがクランクインだったので、私も撮影にお邪魔しました。一面緑が広がっていて、何回も深呼吸したくなるきれいな空気にビックリ! 帰りには、大好きな餃子を食べました。おいしかったです!

——実在の人物がモチーフ。どんな魅力を感じますか?

見上 大関和さんは聡明で、時代に負けない強さがある方だと思いました。信じた道を生き抜く強さが魅力的ですし、いまを生きる人たちにも、そういう強さが必要な気がしているので、作品を通じて誰かに届いたらうれしいです。

上坂 資料となる本を読ませていただき、鈴木雅さんは自分が決めたことに対して、周囲の目に負けない強さをもった方だと思いました。生きるための選択を何度もしていった末に看護の道を切り開いたことも知り、想像できないほどの覚悟が必要だっただろうなと。

私もこの撮影に覚悟をもって挑んでいるので、見る方にも何かを感じてもらえたらうれしいです。

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朝の連続テレビ小説『風、薫る』

舞台は明治時代。元家老の家に生まれた一ノ瀬りん(見上 愛)と、キリスト教の牧師に育てられた大家直美(上坂樹里)は、同じ看護婦養成所で学ぶことに。やがて卒業した2人は悩みぶつかり合いながら成長し、最強のバディとなり、まだ見ぬ世界を切り開いていく。

毎週月~土曜の8:00~8:15(土曜は1週間の振り返り)、NHK総合ほかで放送
※「NHK ONE」で同時・見逃し配信
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
出演:見上 愛、上坂樹里 ほか
公式インスタグラム:@asadora_ak_nhk
公式X:@asadora_nhk

聞き手=岡崎彩子 撮影=千倉志野
写真=NHK

見上 愛
ヘアメイク=豊田健治 スタイリスト=下山さつき(クジラ)
衣装協力:シャツ¥63,800、スカート¥49,500/IRENISA(THE WALL SHOWROOM☎050-3802-5577)、そのほかスタイリスト私物

上坂樹里
ヘアメイク=住本 彩 スタイリスト=金田健志
衣装協力:シャツ(ミント&シルバー)各¥38,500、パンツ¥44,000(MIKAGE SHIN☎050-3131-8658)、イヤーカフ(右)¥11,000、リング(右)¥19,800、リング(左)¥22,000(ayd @ayd.jewelry)、イヤーカフ(左)¥3,600(クンペルバイピー/ロードス☎03-6416-1995)

『旅の手帖』2026年5月号より