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「ことでん」の愛称で親しまれる高松琴平電気鉄道は、高松市を中心に3路線(琴平線、長尾線、志度線)を運行。明治時代にルーツをもつ歴史あるローカル私鉄だ。

今回は高松築港駅と琴電琴平駅を結ぶ、全長32.9㎞の琴平線をセレクト。旅のテーマは、讃岐うどんとこんぴらさん。

高松築港駅すぐにある玉藻(たまも)公園。お堀のそばを列車が走る姿を見られる(写真=香川県観光協会)。
高松築港駅すぐにある玉藻(たまも)公園。お堀のそばを列車が走る姿を見られる(写真=香川県観光協会)。
フリーきっぷは全有人駅で購入できる。
フリーきっぷは全有人駅で購入できる。

まずは腹ごしらえ。朝うどんが当たり前な香川では、6時台から営業しているうどん店も多い。庁舎やオフィス、住宅が立ち並ぶ高松の中心街にある『さか枝うどん』は自分で麺を温め、出汁を入れるセルフスタイル。

この旅では讃岐うどんをハシゴしたいから、趣向の異なる3店舗を。そんな選択ができるのも“うどん県”ならではだ。

【瓦町駅】伝統と革新を続ける讃岐うどんの名店『さか枝うどん 本店』

かけうどん小320円、天ぷらは各種130円。甘く炊いた金時豆の天ぷらや練り物のエビ天は香川ならでは。
かけうどん小320円、天ぷらは各種130円。甘く炊いた金時豆の天ぷらや練り物のエビ天は香川ならでは。

昭和38年(1963)に製麺所として創業。自家製麺はつるりとした喉ごしが魅力で、いりこ、カツオ、昆布を合わせた出汁はすっきり。代表は伝統の味を守りつつ、新たな発想でキャラクターやお土産などの商品開発にも励む。

☎087-834-6291
7:00~15:00、土・日休
香川県高松市番町5-2-23
瓦町駅から徒歩16分

代表の坂枝繁さんと、讃岐うどんに惚れ込み来日した韓国出身のシンさん。「韓国にうどん文化を広めたくてやってきました!」。
代表の坂枝繁さんと、讃岐うどんに惚れ込み来日した韓国出身のシンさん。「韓国にうどん文化を広めたくてやってきました!」。

【栗林公園駅】毎朝、心を込めて打つ麺がうまい! 『麺匠 くすがみ』

ねぎねぎ肉うどん1000円は、朝採れのネギと甘辛く炊いた牛肉で麺が見えないほど。
ねぎねぎ肉うどん1000円は、朝採れのネギと甘辛く炊いた牛肉で麺が見えないほど。
店長の横田仁志さん。釜揚げうどんをつけ麺で味わうのもおすすめです。
店長の横田仁志さん。釜揚げうどんをつけ麺で味わうのもおすすめです。

食感の異なる青ネギと牛肉がたっぷりの「ねぎねぎ肉うどん」や、「ホルモンのつけうどん」などの変わり種メニューが好評。打ちたて、茹でたての麺は、ほどよくもっちり&喉ごしがいい。1玉300gとボリュームも満点だ。

☎087-880-5496
10:00~14:15LO、火休
香川県高松市楠上町2-6-36
栗林公園駅から徒歩6分

【栗林公園駅】香川が誇る名園を堪能「栗林公園」

3月下旬~4月上旬、ソメイヨシノを中心に約330本の桜が咲き誇る。●栗林公園駅から徒歩7分(写真=香川県観光協会)。
3月下旬~4月上旬、ソメイヨシノを中心に約330本の桜が咲き誇る。●栗林公園駅から徒歩7分(写真=香川県観光協会)。
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仏生山(ぶっしょうざん)駅のそばには鉄道工場があり、琴平線・長尾線を走る車両がここで点検・修理を受ける。
仏生山(ぶっしょうざん)駅のそばには鉄道工場があり、琴平線・長尾線を走る車両がここで点検・修理を受ける。
工場見学には、貸切運行の利用が必要(予約や料金などは要問い合わせ)だが、毎年11月3日の「ことでん電車まつり」では一般開放される。
工場見学には、貸切運行の利用が必要(予約や料金などは要問い合わせ)だが、毎年11月3日の「ことでん電車まつり」では一般開放される。

高松市内中心部を抜け、列車は仏生山駅へ。

仏生山は法然寺の門前町として栄えた地域。駅前から少し歩くと江戸情緒が残る、お成り街道なる町並みが現れ、その先には高松藩主・松平家の菩提寺である法然寺や、自然豊かな公園があるので散策を。

江戸時代の商家や町家が点在するお成り街道(写真上)を通って、浄土宗開祖・法然が滞在したと伝わる寺がルーツの法然寺へ。●仏生山駅から徒歩24分。
江戸時代の商家や町家が点在するお成り街道(写真上)を通って、浄土宗開祖・法然が滞在したと伝わる寺がルーツの法然寺へ。●仏生山駅から徒歩24分。

【仏生山駅】境内で味わう、ほっこり滋味うどん『本格手打ちさぬきうどん 竜雲』

伊吹島産のいりこと香川の白みそを使用した担々ごまだれにくぐらせていただく、ごまだれ担々つけうどん1玉(小)1100円。
伊吹島産のいりこと香川の白みそを使用した担々ごまだれにくぐらせていただく、ごまだれ担々つけうどん1玉(小)1100円。
「食べごたえ満点のつけうどんをどうぞ!」。
「食べごたえ満点のつけうどんをどうぞ!」。

法然寺の境内にあるうどん店。社会福祉法人が営み、利用者のみなさんが元気に迎えてくれる。香川県産小麦「さぬきの夢」の全粒粉を加えた麺は栄養価が高く、香り豊か。冷水でキュッと締めたつけうどんで味わいたい。

☎087-889-1217
11:00~14:30、火・金休
香川県高松市仏生山町甲3207-2
仏生山駅から徒歩24分

戻ってきたら、仏生山温泉でひとっ風呂。露天風呂には熱めとぬるめの浴槽があり、贅沢に温泉での温冷交代浴が楽しめるのもいい。

【仏生山駅】いつまでも浸かっていたい炭酸泉の気持ちよさ『仏生山温泉』

開放的な露天風呂。
開放的な露天風呂。

建築家でもある支配人が設計し、地元に開いた温泉施設。広々とした露天風呂はかけ流しで、細かな泡のシュワシュワ感が肌に心地いい。長湯して湯船で読書する人を見かけたことから、館内には50m書店が誕生。

☎087-889-7750
11:00~24:00(土・日曜・祝日は9:00~)
火休(祝日の場合は翌日)
700円
泉質/ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
香川県高松市仏生山町乙114-5
仏生山駅から徒歩9分

休憩処から窓の外を眺め、ゆったりと思い思いの時間を過ごす。右の壁に延びるのが50m書店。
休憩処から窓の外を眺め、ゆったりと思い思いの時間を過ごす。右の壁に延びるのが50m書店。
湯上がりには、郷土料理の讃岐あんもち雑煮600円を。
湯上がりには、郷土料理の讃岐あんもち雑煮600円を。
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仏生山駅から先の沿線には、のどかな田園風景が広がる。車窓を眺めていると、線路に向けてカメラを構える人がいた。

ことでんには、京急電鉄や京王電鉄、名古屋鉄道などから譲り受けた車両が多く、製造から半世紀を超えたいまも現役。そんなレトロ車両の第2の人生を見届けるために訪れる人も多いそう。

挿頭丘(かざしがおか)駅付近の桜並木。陸橋から桜と列車の共演を。桜の見頃は3月下旬〜4月上旬(写真=高松琴平電気鉄道)。
挿頭丘(かざしがおか)駅付近の桜並木。陸橋から桜と列車の共演を。桜の見頃は3月下旬〜4月上旬(写真=高松琴平電気鉄道)。
近代化産業遺産に認定された滝宮駅舎。大正時代の建築で、洋風住宅のような佇まい。
近代化産業遺産に認定された滝宮駅舎。大正時代の建築で、洋風住宅のような佇まい。
近代産業遺産の土器川橋梁を走る車両。後ろに見えるのは“讃岐富士”こと飯野山(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
近代産業遺産の土器川橋梁を走る車両。後ろに見えるのは“讃岐富士”こと飯野山(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
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終点は琴電琴平駅。いよいよこんぴら詣でだ。表参道の入口で杖を借り、785段の石段を上って御本宮を目指す。

参道沿いには土産物店が軒を連ね、429段目には神様専用の馬である「神馬(しんめ)」の姿も。2026年は午(うま)年。こちらもお参りしておこう。

【琴電琴平駅】785段踏み締め、こんぴらさんへ「金刀比羅宮(ことひらぐう)」

写真=香川県観光協会。
写真=香川県観光協会。
2頭の神馬「光驥(こうき)号」「白平(しろひら)号」をデザインした令和8年丙午(ひのえうま)限定御朱印紙1000円。御本宮をお参りしたあと、2026年だけの貴重な御朱印を拝受したい。
2頭の神馬「光驥(こうき)号」「白平(しろひら)号」をデザインした令和8年丙午(ひのえうま)限定御朱印紙1000円。御本宮をお参りしたあと、2026年だけの貴重な御朱印を拝受したい。
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参拝を終えたら、ちょうど小腹がすいてきた。お目当ては、新町商店街にある平岡精肉店のメンチカツと牛肉コロッケ。

やたらと参拝客が頬張っているのを見かけて、気になっていたのだ。しかも店の前には行列ができている。平岡さん夫妻が揚げたてを提供してくれるそれは、ジュワッとお肉の旨味がたまらない。

新町商店街には近年誕生したブルワリーもあり、昼からクラフト生ビールという幸せも。

ほろ酔い気分で再び列車に乗ると、時刻は夕方、次第に部活帰りの学生たちや会社帰りの人々の姿が増えていく。ことでんは旅人を運ぶだけでなく、香川の日常そのものを見せてくれる存在なのだろう。

新町商店街に寄り道しよう♪

こんぴらさんの参道から逆方向に続くアーケード街。近年は空き店舗を活用した飲食店やゲストハウスが誕生し、盛り上がりを見せている。●琴電琴平駅から徒歩4分(平岡精肉店)。

平岡精肉店

肉汁たっぷり、平岡ママのミンチカツ350円は門前グルメの代表格。肉コロッケ230円も人気で、正月には一日3000個売れたそう!

琴平文具店

大人もときめく文具がそろう。カバーの色、素材、留め具などすべて自分好みに選べるノートづくり体験が楽しい。

呑象(どんぞう)ブリューイング

店内醸造のビールを生で満喫しよう。ことひらケルシュはS700円。自家製からあげ3個600円、呑象スナック500円。

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取材・文=本田亜由美
撮影(麺匠 くすがみ、仏生山温泉の露天風呂を除く)=西森ちえみ(ORDI)
『旅の手帖』2026年4月号より