豊かな日差しと水で美しい野菜が育つ

なんという清々しさ……。農家『ファーム・ベジコ』のビニールハウスに入ると、バジルのさわやかな香りに包まれた。

  「冬場でも日中のハウス内は30度近くになります。日照時間の長さと、散水に使うおいしい水が豊富にあるので、高知は施設園芸が盛んなんです」と、『ファーム・ベジコ』の長崎雅代さん。

昼夜の寒暖差が大きいと、野菜に甘みや旨味が濃く出て、葉もきれいに育つ。仁淀川水系の地下水で育てるキュウリはメロンのような甘みだそう。

野菜本来の力を引き出 すため、肥料や水を与えすぎない永田農法を取り入れてバジルを育てる『ファーム・ベジコ』の長崎雅代さん。
野菜本来の力を引き出 すため、肥料や水を与えすぎない永田農法を取り入れてバジルを育てる『ファーム・ベジコ』の長崎雅代さん。

ベジタブル・コミュニケーションを掲げ、個人への直接出荷を大切にする『ファーム・ベジコ』。そのバジルに惚れ込んでいるのが『Baffone(バ ッフォーネ)』の青野摩周シェフだ。

週3回ほど届くバジルを使うジェノベーゼのソースは、注文後に一から手作り。新鮮なソースの香りは畑の香りそのもの。

「マルゲリータやカプリサラダにもベジコさんのバジルを使います」と青野シェフ。
「マルゲリータやカプリサラダにもベジコさんのバジルを使います」と青野シェフ。

「畑と食卓の距離感が近いのも高知の強み」とは、『藁屋 WARAYA』の笹隼也さん。市内では火・木~日曜にいろんな街路市が立ち、そこに出店する農家さんから仕入れることも多いそう。

「高知には牧野富太郎が弟子に種を集めさせた在来種の野菜もあって、それぞれ味が濃いですよ」と笹さん。

魚や肉にも負けない個性のある高知の野菜。それらを味わいに“ベジ旅行”に出かけるのも断然アリ!

「コリンキー(生食用のカボチャ)など、 ベジコさんからは珍しい野菜が届くこともあります」と笹さん。
「コリンキー(生食用のカボチャ)など、 ベジコさんからは珍しい野菜が届くこともあります」と笹さん。

旅先の青空市で美味野菜をゲット『ファーム・ベジコ』

米ぬかや自家製の堆肥で栽培。手前の弘岡カブなど高知の在来種も。
米ぬかや自家製の堆肥で栽培。手前の弘岡カブなど高知の在来種も。
雅代さん(左)夫妻や長男の朝陽さん(右)をはじめ、家族でファームを切り盛り。お米も栽培する。
雅代さん(左)夫妻や長男の朝陽さん(右)をはじめ、家族でファームを切り盛り。お米も栽培する。

長崎さん夫妻が2002年に高知市春野町で農業を開始。就農3年後に野菜の行き先がわかる個人出荷に切り替えた。冬はキュウリや根菜類などを出荷。10月下旬〜6月下旬の土曜(12:00~16:00)には、オーテピア高知図書館の南側で青空市も開催。

Instagram : @farm_vegeco

高知のイタリアンバールの先がけ『Baffone』

ジェノバ風リングイネ1848円。0.1g単位で食材量を調整しており、どの皿も同じおいしさに。
ジェノバ風リングイネ1848円。0.1g単位で食材量を調整しており、どの皿も同じおいしさに。

オープンエアの開放感、アンティーク家具の瀟洒(しょうしゃ)な雰囲気のなか、シェフ自家製のリモンチェッロやイタリアのヴィンテージのお酒を楽しめる。締めは、ソースによく絡むリングイネを使ったジェノベーゼパスタで決まり。

『Baffone』店舗詳細

産直や市場で仕入れた野菜がたっぷり『藁屋 WARAYA』

『ファーム・ベジコ』の赤ピーマンや紫大根などを使った藁屋定食1500円。
『ファーム・ベジコ』の赤ピーマンや紫大根などを使った藁屋定食1500円。

季節感を伝えられる野菜が主役のお店。この日の「藁屋定食」では四方竹(しほうちく)の五香粉(ごこうふん)炒めやさつまいもと紫芋のカルダモンサラダなど、地元の王道食材を独自のレシピで提供。弘岡カブや入河内(にゅうがうち)大根など高知の在来種を使うことも。

『藁屋 WARAYA』店舗詳細

【information】高知の魅力、観光情報をもっと知りたい方はこちら!

高知県では、主要な観光地だけではない隠れた観光スポットや体験、観光ガイド、地元の人々との交流を通じて気づけば高知にどっぷりハマってしまうような観光情報を発信中!
●どっぷり高知旅
https://doppuri.kochi-tabi.jp/

また、2025年3月末から開始する連続テレビ小説『あんぱん』の放送をきっかけに、やなせたかし・暢(のぶ)夫妻のふるさと高知としても盛り上げていくため、ゆかりの地・ものべがわエリアでは地域博覧会を開催!
●ものべがわエリア観光博「ものべすと」
https://monobegawa.com/monobest/

取材・文・撮影=鈴木健太 協力=どっぷり高知旅キャンペーン推進委員会
『旅の手帖』2025年1月号より