「博多発2泊3日、指宿&日本最南端駅・西大山を目指す」のルートはこちら!
【1日目】
博多駅→鹿児島本線・日豊本線→都城(みやこのじょう)駅(泊)
【2日目】
都城駅→日豊本線・鹿児島本線・指宿枕崎線→指宿駅(泊)
【3日目】
指宿駅→指宿枕崎線・鹿児島本線→川内(せんだい)駅…八代(やつしろ)駅→鹿児島本線→博多駅
【1日目】博多駅→都城駅 九州最長の日豊本線をひたすら南下!
通勤、通学の人もまばらな早朝の博多駅を出発し、北九州の小倉駅に到着。ここからいよいよ、九州最長の日豊本線だ。
沿線には別府温泉をはじめ、寿司で知られる佐伯(さいき)や複雑な海岸線が織りなす景勝地など、立ち寄りスポットが盛りだくさん。ウキウキしながら列車に乗り込み、九州南下の列車旅へいざ出発。
列車に揺られること約3時間で大分駅へ。名物とり天を味わったあと、日代(ひしろ)駅で下車し、『うみたま体験パーク「つくみイルカ島」』に立ち寄る。自然の海を利用したレジャー施設で、のびのびと泳ぐイルカたちが目の前に迫る圧巻のショーを楽しんだ。
そこから景勝地・豊後二見ヶ浦を訪れ、豊後水道に面した佐伯で一泊することに。佐伯といえば、大分随一の“寿司の町”。夕食はもちろん寿司屋へ。マグロやカンパチ、アナゴなど多彩な地魚を使った佐伯寿司は、ネタの大きさも特徴的。港町ならではの新鮮なネタは格別だ。
【大分駅】『キッチン丸山』とり天の元祖といわれる老舗洋食店
1963年創業、住宅街にたたずむ洋食店。大分名物のとり天を目あてに県内外から多くの客が訪れる。ひと口大の鶏モモ肉を自家製ダレに漬け込んで揚げたとり天はやわらかく、肉汁があふれ出すほどジューシー。
☎097-537-5538
11:00~14:30・17:30~21:00(とり天はなくなり次第終了)、日・祝休
大分県大分市顕徳町1-6-15
JR日豊本線大分駅から徒歩12分
【日代駅】『うみたま体験パーク「つくみイルカ島」』海上デッキでイルカとふれあえる!
四浦(ようら)半島にある体験型海上レジャー施設。自然の海を利用してイルカが飼育されており、ダイナミックなジャンプを間近に見学できるイルカパフォーマンスは圧巻だ。イルカとの記念撮影や一緒に泳げる体験(要予約)などのプログラムも充実。
☎0972-85-3020
10:00~16:00(時期により変動あり)、1月中旬~2月中旬休。1300円
大分県津久見市四浦2218-10
JR日豊本線日代駅からバス8分のつくみイルカ島下車、徒歩2分
【佐伯駅】『亀八寿司』全国有数の漁場・豊後水道の地魚を堪能
漁獲量・魚種ともに豊富な豊後水道の地魚を使った佐伯寿司を堪能できる。海鮮丼2750円や、佐伯名物のごまだしうどん550円~も人気だ。『亀八かふぇ』を併設。食後には写真映えすると話題の本格パフェ1430円~もおすすめ。
☎0972-22-5818
11:00~14:00・16:00~21:00、月休
大分県佐伯市中村南町7-12
JR日豊本線佐伯駅からバス4分の中央通り一丁目下車、徒歩3分
【2日目】都城駅→指宿駅 花、フルーツ、温泉……南国で待つ癒やしの数々
2日目はさらに南下して宮崎へ。ヤシ類などの亜熱帯植物が車窓に見え始めると一気に南国気分が高まる。
宮崎駅に到着し、植物公園「フローランテ宮崎」に向かう。季節ごとのイベントが開催されていて、夏は「みやざきグルメとランタンナイト」が楽しめるのでぜひ立ち寄りたい。
宮崎駅から都城駅に向けて出発すると、長かった日豊本線の旅もいよいよ終盤。都城では宮崎特産の完熟マンゴーパフェを満喫。濃厚な甘さのマンゴーは南国をギュッと凝縮したような味だ。
都城を出ると列車は鹿児島県内へ。重富駅を過ぎた頃、車窓左に錦江湾(きんこうわん)に浮かぶ桜島が見えてきた。列車から眺める鹿児島のシンボルは迫力満点。やがて鹿児島中央駅に到着する。
鹿児島中央駅から指宿枕崎線に乗り換え、一路指宿へ。乗車したのは快速「なのはな」。キハ200形を使用した車両はその名のとおり、菜の花色のボディーで南国のローカル線にふさわしい華やかさである。
約1時間半で目的地の一つ、指宿に到着。ここを訪れたら欠かせないのが砂むし温泉だ。
地熱で温められた砂を体にかけて入浴する世界でも珍しい温泉で、指宿では約300年前から湯治に訪れていた人々に親しまれていた健康法である。
砂の温度は約50~60度で、首まで砂の中に入って5分ほどで汗がじんわり。15分もすれば、滝のように汗が吹き出してくる。最後にシャワーを浴びると気分爽快。まさに極上のデトックス温泉である。
【宮崎駅】「フローランテ宮崎」サルビアやジニアなどが夏花壇を彩る
四季折々の花々が園内を彩る都市公園。6~7月はアジサイロード、7~8月はアサガオストリートが見頃を迎える。2024年8月2~18日の16時~21時30分には「みやざきグルメとランタンナイト2024」も開催。約1万灯のランタンが夜の園内を幻想的に彩る。体験講座もいろいろ。
☎0985-23-1510
9:00~17:00(イベントにより変動あり)、火(祝の場合は翌日)休。310円
宮崎県宮崎市山崎町浜山414-16
JR日豊本線宮崎駅からバス27分のフローランテ宮崎下車すぐ
【都城駅】『たなかフルーツ』夏は完熟マンゴーのパフェが人気
1950年創業の果物店が営むスイーツのテイクアウト専門店。完熟マンゴーをはじめ、日向夏(ひゅうがなつ)やメロン、ブドウなど宮崎県産を中心に旬のフルーツを使ったパフェやクレープ、ワッフルなどが味わえる。
☎0986-22-3377
9:00~23:00(テイクアウトカフェは11:30~17:00・19:30~22:30)、日休
宮崎県都城市上町8-1
JR日豊本線都城駅からバス5分の市立図書館前下車、徒歩3分
【指宿駅】『指宿 白水館』屈指の伝統と格式をもつ老舗旅館
砂むし温泉や岩盤浴などの浴場を備え、なかでも大浴場・元禄風呂は浮世絵を一面に施した浮世風呂や泡泉といった、多彩な湯船を楽しめるのが魅力だ。鹿児島の美術品を集めた併設の『薩摩伝承館』もぜひ訪れたい。
☎0993-22-3131
1泊2食2万4350円~
日帰り入浴は15:00~18:00、不定休。3400円(砂むし温泉は+1100円)
部屋数:196室
泉質:単純温泉、ナトリウム-塩化物泉
鹿児島県指宿市東方12126-12
指宿枕崎線指宿駅から車7分
【3日目】指宿駅→鹿児島中央駅 いよいよ旅の最終目的地・西大山駅へ!
翌日はもう一つの目的地を目指して西大山駅へ。ここはJR日本最南端の駅。傍らに立つ「幸せの黄色いポスト」が駅のシンボルだ。
夏になると、駅前は一面がヒマワリ畑に。その先には見事な円錐形をした霊峰・開聞岳(かいもんだけ)。九州北部の博多駅を出発し、3日目にして九州の最南端駅に辿り着いたのだと達成感に浸る。
帰路は鹿児島本線で川内駅に向かい、「おれんじ1日フリーきっぷ」を利用して肥薩おれんじ鉄道にも乗車。あと2日もあれば、佐賀と長崎も回れそう。思いきって九州全県の路線を踏破してみようか。博多駅を目指す列車の中で、さらなる野望がふつふつと湧いてきた。
【西大山駅】『かいもん市場 久太郎(きゅうたろう)』マンゴーの涼スイーツでひと息
明治45年(1912)創業の漬物店『中園久太郎商店』が西大山駅前で営む直売所。国産の食材にこだわった無添加の漬物のほか、マンゴーや加工品など土産物がそろう。マンゴーのジェラートやパフェ、かき氷が人気だ。
☎0993-34-0132
8:30~16:30、無休
鹿児島県指宿市山川大山860-2
JR指宿枕崎線西大山駅下車すぐ
指宿駅から帰りは「いぶたま」で!
鹿児島中央~指宿間を約50分で結ぶJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車。カウンターシートから鹿児島の絶景を望むことができる。
指宿のたまて箱●
毎日3往復運転。指定席券は乗車日1カ月前の10時から発車時刻30分前までインターネットで予約可能。https://train.yoyaku.jrkyushu.co.jp/
【湯之元駅】『湯之元温泉 元湯・打込(うちごみ)湯』効能が異なる2つの温泉を堪能
かつて、島津藩直営だった元湯と一般大衆向けの打込湯。もとは別々の温泉だったが、1981年に1つの施設に併合された。併設のお休み処「はらだ家」では宿泊も可能。
☎099-274-5968
6:30~21:00、第3水休。200円
泉質:単純硫黄泉
鹿児島県日置市東市来町湯田2225-1
JR鹿児島本線湯之元駅から徒歩8分
川内駅から「おれんじ18フリーきっぷ」でラストスパート
【熊本駅】『馬肉料理 菅乃屋(すがのや) 熊本駅店』自社生産の安全で新鮮な馬肉を提供
熊本伝統の馬肉料理専門の老舗。飼養から加工まで一貫生産体制にこだわった馬肉を使用している。メニューは馬刺しや寿司、石焼き、ステーキなど種類が豊富。球磨(くま)焼酎をはじめ、馬肉に合う地酒も充実。
☎096-342-6777
11:00~15:00・17:00~22:00、無休
熊本県熊本市西区春日3-15-30 肥後よかモン市場内
JR鹿児島本線熊本駅下車すぐ
取材・文=佐藤 史 撮影=玉村恵理子
『旅の手帖』2024年7月号より