全国のJR線の快速・普通列車が乗り降り自由となる「青春18きっぷ(以下18きっぷ)」。知っておきたい使い方のキホンのキからお得な使い方、さらに旅の可能性を広げるトクトクきっぷとの組み合わせまでを徹底ガイド。18きっぷを使って、この夏をもっともっと楽しもう!

「東京発日帰り、ユニークな栃木の酒蔵を訪ねる“呑み鉄”旅」のルートはこちら!

【日帰り】
東京駅→東北本線・烏山(からすやま)線→烏山駅→烏山線・東北本線→東京駅

東京駅→烏山駅 洞窟のある酒蔵へ

最初の目的地は清酒「東(あずま)力士」の醸造元『島崎酒造』。宇都宮駅から烏山線に乗り換え、終点の烏山駅から10分ほど歩くと到着だ。約50年前から大吟醸酒の低温熟成に取り組み、なんと! 洞窟を熟成庫に使う。

「洞窟内の温度は平均10度。季節で5度ほど上下しますが、それが日本酒の熟成にはいいようです」と、6代目蔵元の島崎健一さん。どうくつ熟成酒「熟露枯(うろこ)」の20年熟成を有料試飲すると、なめらかで奥深い味わいに、ニンマリとほほえんだ。

【烏山駅】『島崎酒造』夏もひんやり涼しい洞窟でゆったりと大吟醸酒を熟成

音声ガイドを聞きながら洞窟が見学できる。本社から洞窟までは無料の自転車で10分ほど。
音声ガイドを聞きながら洞窟が見学できる。本社から洞窟までは無料の自転車で10分ほど。
蔵元の島崎健一さん。「戦車の地下工場用に掘られた洞窟です」。
蔵元の島崎健一さん。「戦車の地下工場用に掘られた洞窟です」。
有料試飲1500円は1年、10年、20年のどうくつ熟成酒が比較できる。
有料試飲1500円は1年、10年、20年のどうくつ熟成酒が比較できる。
歴史を感じさせるたたずまい。
歴史を感じさせるたたずまい。

嘉永2年(1849)創業。相撲好きの2代当主が命名した「東力士」は食中酒として人気が高い。近年は、最長20年まで洞窟内で大吟醸酒を預かるオーナーズボトル1万1000円~を実施。子どもや孫の誕生時に購入し、成人祝いにする利用者も多い。

☎0287-83-1221
9:00~17:00(洞窟見学は土・日・祝の10:00~16:00、200円〈平日は10:30~・14:00~、要予約〉)、無休
栃木県那須烏山市中央1-11-18
JR烏山線烏山駅から徒歩10分

【烏山駅】『焼きそばの店 かまぎん』那須烏山市の隠れた名物! 焼きそば専門店の味を守る

イカ、豚肉、目玉焼きがのる焼きそばスペシャル(大)セット900円には、自家製味噌を使った味噌汁、ご飯、お新香が付く。
イカ、豚肉、目玉焼きがのる焼きそばスペシャル(大)セット900円には、自家製味噌を使った味噌汁、ご飯、お新香が付く。
女将の阿久津友子さん。「追いソースで 自分の味にしてね」。
女将の阿久津友子さん。「追いソースで 自分の味にしてね」。

那須烏山市の旧烏山町には、昭和50年代まで製麺所がいくつかあり、焼きそば専門店が6店ほど存在。その伝統の味を守る老舗がここ。乾麺を茹でずに二度蒸した麺が特徴で、コシが強く特製ソースがよく絡む。

☎0287-83-1028
11:00~18:30、月休
栃木県那須烏山市中央1-4-4
JR烏山線烏山駅から徒歩15分

【烏山駅】駅にいるよ、探してみてね!

烏山駅は終着駅なので、線路に車止めがある。烏山線の開業から50年以上使用されてきた腕木式信号機(上)も。
烏山駅は終着駅なので、線路に車止めがある。烏山線の開業から50年以上使用されてきた腕木式信号機(上)も。
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烏山駅→小山駅 はしご酒のあと、革新的な酒蔵へ

2023年夏は小塙(こばな)~滝間で、烏山線開業100周年記念のヒマワリ畑が見られた(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
2023年夏は小塙(こばな)~滝間で、烏山線開業100周年記念のヒマワリ畑が見られた(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。

那須烏山市の隠れた名物・焼きそばや、宇都宮駅で立ち飲みを楽しんだら、小山(おやま)駅に出て『西堀酒造』へ。いま話題の「ILLUMINA(イルミナ)」を購入したかったのだ。この日本酒は世界唯一のアクリル製透明タンクを仕込みに使い、LEDライトを当てて発酵をコントロールする。

「同じ原料を使いながら短い波長の青い光を当てると甘口に、長い波長の赤い光を当てると辛口になります」と、6代目蔵元の西堀哲也さん。

半信半疑で試飲すると、まるで味が違うのに驚く。栃木の酒蔵、恐るべし! 次は1泊でめぐるとしよう。

【宇都宮駅】『嶋田屋酒店 宮みらい店』選りすぐりの地酒を店内で飲み比べ

栃木ののみくらべ1200円と日光ろばた漬け・らっきょ3種盛500円。のみくらべはこの日、11種から3種を選択できた。
栃木ののみくらべ1200円と日光ろばた漬け・らっきょ3種盛500円。のみくらべはこの日、11種から3種を選択できた。

大正元年(1912)創業の老舗酒店が、宇都宮駅の駅ビルに出店。社長みずから栃木県内はもちろん、日本全国の酒蔵を訪問し納得のいく商品を仕入れる。日本酒、焼酎、日本ワイン、日本ウイスキーなど200種以上をそろえる。

☎028-688-8251
11:00~20:30(立ち呑みは~20:00LO)、無休
栃木県宇都宮市宮みらい1-1 Utsunomiya Terrace 2F
JR東北本線宇都宮駅から徒歩1分

【小山駅】『西堀酒造』型にはまらない、斬新な酒造りに挑戦!

「ILLUMINA」各720㎖2750円。緑光、赤光、青光の3種があり、緑光が中間の味になる。
「ILLUMINA」各720㎖2750円。緑光、赤光、青光の3種があり、緑光が中間の味になる。
敷地内のアンテナショップでは無料と有料の試飲が可能。
敷地内のアンテナショップでは無料と有料の試飲が可能。

明治5年(1872)創業。多彩な料理に合う「門外不出」は濃醇(のうじゅん)旨口の食中酒で、地元で9割が消費されるため、県外では入手しづらいレア商品になっている。近年は蒸溜所を新設し、日本酒酵母を使ったウイスキーも製造。

☎0285-45-0035
アンテナショップは10:30~17:30(土・日・祝は10:00~17:00)、無休
酒蔵見学は14:00~15:30(ホームページから要予約)、無休。1000円~(記念品・試飲付き)
栃木県小山市粟宮1452
JR東北本線小山駅からバス15分の西堀酒造前下車すぐ

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取材・文・撮影=内田 晃
『旅の手帖』2024年7月号より

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