鉄道への愛と知識にあふれた『JR時刻表』編集部メンバーに、青春18きっぷの「5日間用」を使いつくす旅を教えてもらいました。新幹線やフェリーで移動するワープ技を使い、移動先の現地ではじっくりきっぷを活用。日本列島をあっちこっち、ジグザグしながら北の大地を目指す旅を、前編・後編に分けてお届け!

4泊中3泊が列車(船内)泊!「青春18きっぷ 5日間コース」の全貌はこちら

【1日目】
東京駅…東海道・山陽新幹線…芸備線・木次線・山陰本線…伯備線ほか…静岡駅(泊)

【2日目】
静岡駅→東海道本線・飯田線・中央本線・小海線…しなの鉄道…軽井沢駅(泊)

【3日目】
軽井沢駅…JRバス…横川駅→信越本線・上越線・信越本線・越後線・弥彦線・越後線…新日本海フェリー…秋田港(泊)

*後編はここから紹介。
【4日目】
秋田港…連絡バス…奥羽本線・五能線…弘南鉄道大鰐線…大鰐温泉駅→奥羽本線→弘前駅・黒石駅…弘南鉄道弘南線…弘前駅→奥羽本線・青い森鉄道→八戸駅…シャトルバス…八戸港…シルバーフェリー…苫小牧港(泊)

【5日目】
苫小牧港…シャトルバス…苫小牧駅→日高本線・室蘭本線・千歳線・函館本線→札幌駅…市営地下鉄南北線・東西線…札幌駅→函館本線・留萌本線・函館本線・石北本線→網走駅

※旅程は8月27・28日発を想定しています。
青字は新幹線や特急、フェリーなど、青春18きっぷを使用しない区間(別途料金区間)です。
※時刻は『JR時刻表』2025年7月号掲載の内容です。時刻は毎月変更するので、その月のものを確認してください。
※観光列車やフェリーの運転(航)日は各社ホームページなどを確認してください。

【4日目】秋田港→苫小牧(とまこまい)港 弘南鉄道を乗り継ぎ、フェリーで北海道へ

中央弘前(ひろさき)~大鰐間を結ぶ、「りんご畑鉄道」の愛称で知られる弘南鉄道大鰐線。東急電鉄から譲り受けた7000系が、岩木山をバックに走る(写真=PIXTA)。
中央弘前(ひろさき)~大鰐間を結ぶ、「りんご畑鉄道」の愛称で知られる弘南鉄道大鰐線。東急電鉄から譲り受けた7000系が、岩木山をバックに走る(写真=PIXTA)。

早朝、秋田港でフェリーを下船。秋田駅からは、鉄道ファンに人気の絶景路線・五能線を走る「リゾートしらかみ」に乗車する。日本海沿いの景色を堪能するならA席を予約しておきたい。

弘前駅からは、弘前市民の足・弘南鉄道の弘南線と大鰐線を乗りつぶそう。大鰐線は2027年度末での運行休止が決定している。雄大な津軽平野に岩木山、りんご畑と、のどかな風景にホッとする。

五能線の深浦~広戸間、日本海沿いを走行する「リゾートしらかみ」(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
五能線の深浦~広戸間、日本海沿いを走行する「リゾートしらかみ」(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
青池編成の車内。4両編成の車内のうち、1・3・4号車が2+2の座席配置、2号車はボックスシートだ(写真=JR東日本)。
青池編成の車内。4両編成の車内のうち、1・3・4号車が2+2の座席配置、2号車はボックスシートだ(写真=JR東日本)。

弘前から青森へ移動し、18きっぷの特例で青い森鉄道に乗車。八戸に到着した。なんと、この日もフェリー泊! 八戸港と北海道・苫小牧港を結ぶシルバーフェリーに乗船し、大浴場で汗を流して眠りについた。

毎日4往復運航するシルバーフェリー。八戸港22時発の使用船舶は和のテイストを基調とした「シルバーエイト」。特等室から大部屋の2等室まで、用途に合わせて部屋を選べる。
毎日4往復運航するシルバーフェリー。八戸港22時発の使用船舶は和のテイストを基調とした「シルバーエイト」。特等室から大部屋の2等室まで、用途に合わせて部屋を選べる。
写真の2等寝台Aの運賃は9000円。
写真の2等寝台Aの運賃は9000円。

【5日目】苫小牧駅→網走駅 最終日は雄大な北海道を縦断!

明治43年(1910)開通の留萌(るもい)本線。写真は北一已(きたいちやん)駅(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。
明治43年(1910)開通の留萌(るもい)本線。写真は北一已(きたいちやん)駅(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)。

最終日は北海道からスタート。まずは日高本線で、雄大な勇払(ゆうふつ)原野を車窓から楽しんだ。いまや貴重なキハ40形に乗れるのもうれしい。

札幌へと移動し、札幌市営地下鉄に乗車。駅では線路から聞こえてくる「チュンチュン」という音に注目したい。日本の地下鉄では唯一、ゴム製タイヤを使用しているため、電気を逃がしている音がするのだ。車内では走行音にも耳を澄ませよう。

『白い恋人パーク』で工場見学のあと、札幌まで戻ってきたら、2025年度末で廃止が予定されている留萌本線に乗車。2025年に特急運行が終了し、快速となった「大雪(たいせつ)」で暗闇の石北本線を一気に駆け抜け、今回の旅のゴール・網走駅に到着!

【宮の沢駅】『白い恋人パーク』30周年を迎えたお菓子のテーマパーク

中庭のイングリッシュガーデン。夏は約200株のバラが見頃を迎える。
中庭のイングリッシュガーデン。夏は約200株のバラが見頃を迎える。
白い恋人はホワイトとブラックの2種類がある。9枚入り777円~。
白い恋人はホワイトとブラックの2種類がある。9枚入り777円~。

「白い恋人」で知られる石屋製菓が運営。入場の際に白い恋人が1枚もらえる工場見学をはじめ、お菓子作り体験やチョコレートの歴史を学べる展示、ここだけのスイーツが食べられるカフェなど、見どころ満載。

白い恋人パーク
☎011-666-1481
10:00~18:00(有料エリアは~16:30受付)、無休。有料エリア800円
北海道札幌市西区宮の沢2条2-11-36
札幌市営地下鉄東西線宮の沢駅から徒歩7分

構成=『旅の手帖』編集部 イラスト=さとうみゆき
『旅の手帖』2025年8月号 より

2024年の冬に大幅リニューアルした「青春18きっぷ(以下18きっぷ)」。連続する3日間または5日間を一人で使用するのが新ルール。さらに、JRおよび私鉄各社が発売しているお得きっぷと組み合わせれば、可能性は無限大! 18きっぷを使って、この夏をもっともっと楽しもう!