サーターアンダギーの概念が変わる『ハッピーモア市場 tropical店』【宜野湾市】
“小さな農家の応援隊”として始まったファーマーズマーケット『ハッピーモア市場tropical店』。とても明るくパワフルなスタッフの声が店内に響きわたり、行くだけで毎回元気をもらうことができる。
ここに、毎月8・18・28日と「8」がつく日に販売される、売り切れ必至の人気商品がある。揚げたてカリッと香ばしい「ヨーコさんのレモンアンダギー」だ。
サーターアンダギーは沖縄の伝統揚げ菓子で、主な材料は砂糖、卵、小麦粉、油とシンプル。どこで食べても一緒と思われがちだが、ここのはひと味違う。
スムージーを作る際に余り、廃棄されてきたレモンの皮を活用するために生まれたSDGsなサーターアンダギーで、ひと口かじればレモンのさわやかな香りがふわっと広がる。
仕上がりは軽く、サクサクッとした歯ごたえがたまらない。米油で揚げているため時間が経っても酸化しにくく、揚げ物独特のにおいもなし。小ぶりで胃もたれもしにくいので、つい2、3個と手が伸びる。
食べる直前にオーブントースターで2分ほど温めると、揚げたてのおいしさを再現できる。あつあつのレモンアンダギーはそのまま食べても十分だが、バニラアイスクリームに添えると立派なデザートに。
『ハッピーモア市場 tropical店』店舗詳細
グルービーな店で輝く誰もが安心のパンたち『ぱん工房おとなりや』【読谷(よみたん)村】
「あれも! これも!」とついつい買いすぎてしまうのが唯一の欠点かもしれない。
北海道産や九州産の小麦や北海道産のバター、沖縄県産の黒糖や塩、卵に自家製の天然酵母など、厳選素材で仕込むパンが70種類も並び、目移り必至。
ハード系から総菜パン、デニッシュ系まで幅広いラインナップのパンが焼き上がった順に並べられ、お目当てを買いに行ったつもりが、気づくとトレーの上には何種類ものパンが……。
ラインナップの多さは「どんな方にもおいしく食べてもらいたい」という思いゆえ。お子さんに乳製品・卵・小麦粉のアレルギーがあったことから、素材にこだわり始めたのだそう。
「自分が作ったパンを、自分の子どもが食べられないなんて悲しいじゃないですか」とオーナーの齊藤隆行さん。
グルテンフリーやベジタリアン対応のパンも充実し、焼き菓子や、地元で採れた野菜が売られることも。ちなみに店名は“お隣”ではなく“音鳴り”から。「やちむんの里」の帰りに寄って行こう。

『ぱん工房おとなりや』店舗詳細
喧騒を離れた路地にひっそり佇むリヤカー『珈琲屋台 ひばり屋』【那覇市】
那覇の中心でホッとひと息つきたいときに立ち寄るなら、絶対ここ!
細い路地を抜けた先の空き地に、手作りのリヤカー屋台と木製のベンチが忽然と現れる。屋根がないため、雨の日はお休み。運やタイミングが悪いと行けずに終わってしまう……からこそ、辿り着いたときには大きな喜びを感じるのかもしれない。
国際通りの近くにありながらも緑に囲まれ、沖縄の風と季節を感じることができる。深呼吸をすると心のモヤモヤも晴れ、気分スッキリ。
『珈琲屋台 ひばり屋』店舗詳細
県産食材の味を手作りアイスに『CAFUNÉ(カフネ)』【宜野湾市】
アイスクリームは日替わりで9種類。
「素材よりも素材らしい」県産を中心とした食材がもつ本来の味と香りが楽しめる。
夏には、県産のマンゴーやドラゴンフルーツなどのトロピカル系も登場。サクサク食感の自家製ワッフルコーンと合わせたい。
『CAFUNÉ』店舗詳細
手作りレンガ窯で焼く素朴な天然酵母パン『水円(すいえん)』【読谷村】
出会ってすぐにファンになり、何度も訪れている天然酵母のパン屋さん。
石臼で碾(ひ)いた小麦粉と水、沖縄の無農薬玄米と紅いも、黒糖、小麦粉を約20年かけ継いだ自家製の天然酵母、沖縄の海塩を使用し、手作りのレンガ窯で焼き上げたパンは滋味深く素朴な味わいで、疲れた心にそっと寄り添ってくれるよう。イートインも可能だ。
神秘的で威厳ある大きなガジュマルの木に見守られ、2025年8月に15年目を迎える。
『水円』店舗詳細
沖縄らしさ×スタイリッシュ『rokkan COFFEE SHURI』【那覇市】
寝ぼけた頭をスッキリとさせたいときは、首里城近くのこちらへ。
「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を超える“第六感”を体験してほしい」という思いが込められたコーヒー専門店。
内装はスタイリッシュながらも、サンゴや貝殻などが堆積し形成された琉球石灰岩、琉球畳などの沖縄素材が生かされ、沖縄の歴史や文化を感じることができる。
店内はペットもOKで、犬の散歩途中にふらっと立ち寄る常連さんがいるのも、なんだか、いい。
『rokkan COFFEE SHURI』店舗詳細
地元に支持される懐かし定番パン『金城ベーカリー』【那覇市】
幅広い世代から愛されるむかしながらの老舗。創業は1952年。新しいお店が次々とオープンする時代でも、地元で根強く親しまれている。
ウインナーロールや揚げパン、カレーパン、あんパンなど“いまどき”ではない懐かしのパンが50種類ほど並び、昭和を感じてほっこりとした気分に。
店内にはイートインスペースも。1時間パン食べ放題のぱんバイキング1320円(子どもは880円)もあり、特に週末は朝の8時からファミリー層でにぎわう。
『金城ベーカリー』店舗詳細
ほかほか琉球王朝の味!『koti(こち)』【八重瀬町】
築65年の古民家をリノベーションした店は風情と落ち着きがあり、ここだけ時間がゆっくりと流れているような感覚に。
天井も高いので、心穏やかに過ごしたいときには絶好の空間だ。
ここでいただけるのは、琉球料理伝承人の津嘉山恵子さんがプロデュースした王朝菓子と郷土菓子。
琉球王国時代から伝わる、すべて伝統的製法にこだわったお菓子は、初めてでもどこか懐かしさを感じるはず。チンスコウなどの焼き菓子とお茶のセットは、お土産にしても喜ばれる。
『koti』店舗詳細
カラキを使った絶品シナモンロール『Once a week Coffee stand』【那覇市】
しっとり、ふわふわ。カラキ(沖縄シナモン)とスリランカ産のセイロンシナモンを3対7の割合で生地に混ぜ込んだシナモンロールは、東京・田園調布にあるシナモンロール専門店『hari』の麻里子さん監修。
県産カラキが香る、やさしい味わいだ。
『Once a week Coffee stand』店舗詳細
取材・文・撮影=舘 幸子
『旅の手帖』2025年6月号より