器ギリギリ麺は県民への愛の証し『ラーメンショップ チャイナタウン』【秋田県秋田市】

極太で弾力抜群の麺にあんがよく絡む。あんはもちろんあつあつなので、やけどには注意。
極太で弾力抜群の麺にあんがよく絡む。あんはもちろんあつあつなので、やけどには注意。

1984年創業。県民なら誰しもが知る、秋田ちゃんぽんの発祥といわれる店。あんがあふれそうなほどに注がれた、みそちゃんぽん1000円は、味噌と野菜や肉をブレンドして作り上げられたここだけの味で、寒い秋田に住む人々を思う気持ちから誕生した。具材は豚肉やイカ、エビ、タケノコなどの10種。ほかに塩、醬油味もある。

卓上のラージャンも店オリジナルブレンド。味変すれば、ピリ辛でさらに体が温まる。
卓上のラージャンも店オリジナルブレンド。味変すれば、ピリ辛でさらに体が温まる。
国道13号から見える、レトロなネオンの看板が目印。
国道13号から見える、レトロなネオンの看板が目印。
店に飾られた絵はオーナーの菅野操(みさお)さんが描いたもの。その繊細なタッチは必見!
店に飾られた絵はオーナーの菅野操(みさお)さんが描いたもの。その繊細なタッチは必見!

『ラーメンショップ チャイナタウン』店舗詳細

和風仕立ての我流がいまや大定番に『近江ちゃんぽん亭 本店』【滋賀県彦根市】

野菜を360gも盛り込んだ、野菜スペシャル1100円(2025年4月以降に価格改定の可能性あり)。喉ごしがいい中太の中華麺は滋賀県産小麦のびわほなみを使った自家製麺。ちゃんぽんに合わせて開発した昆布酢で、味変も楽しんで。
野菜を360gも盛り込んだ、野菜スペシャル1100円(2025年4月以降に価格改定の可能性あり)。喉ごしがいい中太の中華麺は滋賀県産小麦のびわほなみを使った自家製麺。ちゃんぽんに合わせて開発した昆布酢で、味変も楽しんで。

近江ちゃんぽんの元祖『麺類をかべ』の経営を引き継ぎ、1989年に開業。和食がベースの近江ちゃんぽんのスープは、鈴鹿山系のまろやかな地下水で取る和風出汁に、地元の老舗・「丸又醬油」の熟成醬油を合わせている。麺は長崎のちゃんぽんでおなじみの唐灰汁(とうあく)麺ではなく中華麺、具材には魚介は入れず豚肉と野菜を使うなど、その違いは顕著。注文ごとに一杯ずつ手鍋で仕上げる。

「彦根独自の味を全国の人に知ってほしい!」と、『近江ちゃんぽん亭』を展開する「ドリームフーズ」の社長・山本英柱(ひでき)さん。
「彦根独自の味を全国の人に知ってほしい!」と、『近江ちゃんぽん亭』を展開する「ドリームフーズ」の社長・山本英柱(ひでき)さん。
『麺類をかべ』の当時の看板がいまも掲げられる彦根駅前店。
『麺類をかべ』の当時の看板がいまも掲げられる彦根駅前店。

『近江ちゃんぽん亭 本店』店舗詳細

定番にひとひねり。地元に愛される味『らーめん本気(まじ)』【滋賀県彦根市】

あんかけちゃんぽん850円。キムチあんかけやチゲあんかけもおすすめ。
あんかけちゃんぽん850円。キムチあんかけやチゲあんかけもおすすめ。

『麺類をかべ』の創業者である叔父から受け継いだ、むかしながらの味を大切に作るあんかけちゃんぽんが名物。素材に合わせてカツオやイワシの削り節、昆布などの配合を微妙に変えて完成させるスープは、出汁の風味が豊かでとろりと濃厚、体に染みわたる。スープの下には、たっぷりの野菜と細めの麺がひそむ。

27歳で店を構えた地元出身の店主・立澤幸雄さんが夫妻で営む。「受け継いだ味を実直に、この一杯に」。
27歳で店を構えた地元出身の店主・立澤幸雄さんが夫妻で営む。「受け継いだ味を実直に、この一杯に」。

『らーめん本気』店舗詳細

あんかけが唯一のルールでアレンジ自由! 『星屋』【兵庫県尼崎市】

尼崎あんかけチャンポン990円。通常のチャンポンもある。
尼崎あんかけチャンポン990円。通常のチャンポンもある。

昭和の高度成長期に、長崎をはじめとする九州出身者が尼崎の町工場へ集団就職してきた。彼らのふるさとの味であるちゃんぽんが食べられるようになったことが、尼崎あんかけチャンポンの始まり。この店の一杯は豚骨、鶏ガラに加え、カツオ、イリコ、昆布、シイタケなど山海の出汁を合わせた旨味の濃いスープが自慢だ。

尼崎あんかけチャンポンを全国へ発信すべく発足した「尼崎あんかけチャンポン事務局」の顧問も務める、店主の赤星典秀さん。「長崎の味と関西の出汁文化の融合です!」。
尼崎あんかけチャンポンを全国へ発信すべく発足した「尼崎あんかけチャンポン事務局」の顧問も務める、店主の赤星典秀さん。「長崎の味と関西の出汁文化の融合です!」。
あんの下にとろみのないスープが入っている「二層式」が特徴。
あんの下にとろみのないスープが入っている「二層式」が特徴。

『星屋』店舗詳細

やさしい辛さのカレー味は追い飯も美味『炭火焼鳥とジンギスカン 北の大地』【鳥取県鳥取市】

カレーと魚介出汁をブレンドしたスープに、特産のとうふちくわがのる。1580円。
カレーと魚介出汁をブレンドしたスープに、特産のとうふちくわがのる。1580円。

カレールーの購入額が全国1位(平成25~27年総務省の家計調査)を誇る鳥取市で、2014年に誕生。もともと山陰地方ではあんかけちゃんぽんが親しまれていたこともあり、見事に二つのメニューのコラボレーションが実現した。魚介出汁とカレーをブレンドした、やさしい辛さのスープが特徴。麺を食べ終わったらぜひ、追い飯を!

炭火焼鳥と店主の出身地・北海道のジンギスカンも自慢。
炭火焼鳥と店主の出身地・北海道のジンギスカンも自慢。

『炭火焼鳥とジンギスカン 北の大地』店舗詳細

太めのもっちり麺に醬油スープが基本『丸山ちゃんぽん』【愛媛県八幡浜市】

特製ちゃんぽん700円。 味つけは県内の蔵が醸した醬油で。エビやイカなど具材は豊富。
特製ちゃんぽん700円。 味つけは県内の蔵が醸した醬油で。エビやイカなど具材は豊富。

1948年に開業した、八幡浜(やわたはま)ちゃんぽん一番の老舗。親戚を訪ねて今治(いまばり)市に行った初代が、そこで味わった料理からヒントを得て研究したと伝わる。当初はカツオ節や昆布で取った和風出汁に中華麺を合わせていたが、2代目がスープに鶏ガラを加え、より甘みとコクが深まった味わいに。

2・3代目が営むこの店は「八幡浜ちゃんぽんの元祖」とも呼ばれる。
2・3代目が営むこの店は「八幡浜ちゃんぽんの元祖」とも呼ばれる。

『丸山ちゃんぽん』店舗詳細

ポークとシイタケの旨味が絶妙なおいしさ『ひがし食堂』【沖縄県名護市】

アサリの味噌汁付きがうれしい、チャンポン(沖縄風)780円。
アサリの味噌汁付きがうれしい、チャンポン(沖縄風)780円。

沖縄でちゃんぽんといえば、長崎のそれとは一線を画す、沖縄生まれのご飯料理のこと。名護市にあるこの店のちゃんぽんは、そば出汁を入れて煮込み、食感を残したシャキシャキの野菜と濃いめの味つけに仕上げ、卵でとじてラーメン丼に盛りつける。食後には、ふわふわの氷がのったぜんざいもお忘れなく。

「野菜の旨味を楽しんでください」と、2代目店主の儀部(ぎぶ)浩さん。むかしから変わらぬ味を守り続けている。
「野菜の旨味を楽しんでください」と、2代目店主の儀部(ぎぶ)浩さん。むかしから変わらぬ味を守り続けている。
小さくカットしたポー クや5種類ほどの野菜から旨味を引き出す。
小さくカットしたポー クや5種類ほどの野菜から旨味を引き出す。

『ひがし食堂』店舗詳細

発祥の店で味わう元祖沖縄ちゃんぽん『お食事処みかど』【沖縄県那覇市】

一度は食べたい人気ナンバーワンのちゃんぽん(沖縄風)900円。
一度は食べたい人気ナンバーワンのちゃんぽん(沖縄風)900円。

1961年創業。那覇のメインストリートに店を構えるお沖縄ちゃんぽん発祥の店。ちゃんぽんを目当てに県外から訪れるお客さんも多く、注文は全体の4分の1を占める。旨味たっぷりの出汁の味を生かし、調味料は最小限。具材には、牛肉のミンチと小さくカットされたポテトを混ぜた、コンビーフハッシュを使用する。一日2回入荷する豆腐を使った料理もおすすめ。

食べやすく栄養バランスもバッチリなちゃんぽんは、カツオ節、豚骨、鶏、シイタケなどを使い、下味をしっかりきかせた出汁が味の決め手。ちゃんぽん以外の料理にも使われる。
食べやすく栄養バランスもバッチリなちゃんぽんは、カツオ節、豚骨、鶏、シイタケなどを使い、下味をしっかりきかせた出汁が味の決め手。ちゃんぽん以外の料理にも使われる。
那覇のメインストリート、国道58号沿いに立つ。
那覇のメインストリート、国道58号沿いに立つ。

『お食事処みかど』店舗詳細

一人前あたり1個分のタマネギを使用『お食事処三笠』【沖縄県那覇市】

親子丼のような甘めの味つけのちゃんぽん (三笠風)750円。
親子丼のような甘めの味つけのちゃんぽん (三笠風)750円。

創業は1966年。タマネギと合い挽き肉というシンプルな材料で作られるのが三笠スタイル。たっぷりと使うタマネギは、切り口が潰れてベチャベチャにならないよう、機械ではなく手作業でみじん切りにするのがおいしさの秘密。甘辛く素朴な味が人気を集める。

たっぷりタマネギはシャキシャキした歯ごたえ。レシピが生まれた経緯は、いまでは誰にもわからないそう。
たっぷりタマネギはシャキシャキした歯ごたえ。レシピが生まれた経緯は、いまでは誰にもわからないそう。

『お食事処三笠』店舗詳細

取材・文=桑野詠子、藤川 満、阿部美岐子、松本佳恵、『旅の手帖』編集部 撮影=高見尊裕、藤川 満、松本佳恵、『旅の手帖』編集部
『旅の手帖』2024年1月号より