【上高地へは】
JR中央本線松本駅からバス1時間30分の上高地バスターミナル下車(夏期は上高地バスターミナルまで、東京から「あるぺん号」、大阪から「さわやか信州号」など直行バスが運行〈要予約〉)

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ほぼ平坦な道なので、気負わずに行ける

上高地バスターミナルから梓川左岸歩道を進み約2時間。

『徳澤園』は標高約1550m、前穂高岳や明神岳の東に立地する。遊歩道を歩いて辿り着けるので、アウトドア初心者でもアクセスしやすい山小屋だ。

実はこの地の始まりは、明治18年(1885)に開業した上高地牧場。昭和9年(1934)、敷地が中部山岳国立公園に指定されたことに伴い、牧場は閉鎖し山小屋に生まれ変わった。その後、井上靖の小説『氷壁(ひょうへき)』の舞台となったことで広く知られるようになる。

上高地を象徴する河童橋(上)を渡り、梓川右岸歩道を10分ほど歩くと、原生林に囲まれた岳沢湿原へ着く。徳澤への行き帰りに寄ってもいい(写真〈2点とも〉=上高地観光旅館組合)。
上高地を象徴する河童橋(上)を渡り、梓川右岸歩道を10分ほど歩くと、原生林に囲まれた岳沢湿原へ着く。徳澤への行き帰りに寄ってもいい(写真〈2点とも〉=上高地観光旅館組合)。

山奥にいることを忘れてしまう

中に入ると玄関、ラウンジ、談話コーナーなど、洗練された設えに心が躍る。

客室は、2024年5月にオープンしたコンセプトルーム4室をはじめ、洋室や和室も、ホテル並みの快適性を追求した造り。相部屋も、ポップな色使いの「カラマツ」やシックな雰囲気の「ホタカ」など内装にこだわり、“憧れの山小屋”と称されるのも納得だ。

コンセプトルーム「氷壁」は、井上靖が筆を執っていた大正~昭和の時代の空気を表現。
コンセプトルーム「氷壁」は、井上靖が筆を執っていた大正~昭和の時代の空気を表現。
薪ストーブのあるラウンジ。山岳図書や上高地のビデオも置いている。
薪ストーブのあるラウンジ。山岳図書や上高地のビデオも置いている。
ハチの巣をモチーフにした六角形の入口とカラフルなカーテンが楽しい相部屋「カラマツ」。
ハチの巣をモチーフにした六角形の入口とカラフルなカーテンが楽しい相部屋「カラマツ」。

ワクワクがつきない食事やサービス

『徳澤園』は食事にも抜かりがない。ジャガイモ、野沢菜、ズッキーニなど、食材の多くが自家菜園で作られた無農薬野菜。信州牛のステーキや岩魚の塩焼きなど、山小屋としては驚きの豪華メニューも登場する。

併設する「みちくさ食堂」でも手作りの窯焼きピザやプリン、名物のソフトクリームが味わえる。

隣には「徳沢キャンプ場」を併設し、手ぶらでOKの「ぶらキャン」プランを提供。調理設備やライブラリー、Wi-Fiを備えた多目的利用施設「TOKUSAWA BASE(トクサワベース)」も利用できるので、天気が悪くても安心だ。

アウトドア初心者から、登山上級者まで受け入れてくれる懐の深さ。上高地の大自然を快適に味わうには抜群の環境が整っている。

「みちくさ食堂」の野沢菜チャーハン1200円。
「みちくさ食堂」の野沢菜チャーハン1200円。
ボルダリング体験ウォールも備わる「TOKUSAWA BASE」。
ボルダリング体験ウォールも備わる「TOKUSAWA BASE」。
「みちくさショップ」で販売しているオリジナル保温ボトル各5000円。
「みちくさショップ」で販売しているオリジナル保温ボトル各5000円。
明神岳・前穂高岳を望む徳沢キャンプ場(写真=上高地観光旅館組合)。
明神岳・前穂高岳を望む徳沢キャンプ場(写真=上高地観光旅館組合)。
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住所:長野県松本市上高地/定休日:2024年の営業は11月3日まで/アクセス:JR中央本線松本駅からバス1時間30分の上高地バスターミナル下車、徒歩2時間(夏期は上高地バスターミナルまで、東京から「あるぺん号」、大阪から「さわやか信州号」など直行バスが運行〈要予約〉)

取材・文=朝倉由貴 写真=徳澤園
『旅の手帖』2024年8月号より

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